初の単独首位で最終日へ 宮里優作「バカになって」
宮里優作が今季最終戦でツアー初勝利に王手をかけた。東京よみうりカントリークラブで開催中の国内男子ツアー「日本シリーズJTカップ」3日目。通算8アンダーの2位から出ると8バーディ2ボギーと6ストロークスコアを伸ばし、通算14アンダーとして後続に3打差をつけて単独首位に浮上した。
アマチュア時代に数々のタイトルを手にしながら、ただ「1勝」が遠い11年のプロ生活。その時間に終止符を打つ瞬間に、キャリアで最も接近した。「上がりがバタバタしたけれど、なんとか。」3日間で66-66-64。他を圧倒する計20個のバーディと全体3位のパーセーブ率(90.74%)。爆発力と安定感を兼ね備えたその力を存分に発揮し、集団から抜け出して最終コーナーを回った。
順位変動の激しいムービングデー。流れを寸断しそうなピンチの芽を何度も、何度も摘み取った。序盤3番でバーディを先行させると、その後もショットをピンに絡め続けて5番から3連続バーディを奪取。続く8番(パー3)ではグリーン左サイドのバンカーからの第2打が「思ったよりも砂が無かった」と“ホームラン”で反対方向のエッジまで転がったが、ウェッジで放った続く20ヤードのアプローチを直接沈めてパーをもぎ取った。
単独トップで快走したバックナインは、14番で2メートルのチャンスを外すと、続く15番(パー3)でついにこの日初のボギー。だが16番、5メートルのスライスラインを読み切ってバーディを決めガッツポーズを作った。今週水曜日のプロアマ戦に同行し、今大会でラウンドレポーターを務める丸山茂樹も「すぐに取り返せたのは大きかった。もちろん明日に向けても」と納得顔で期待を寄せた。
前週「カシオワールドオープン」で7位に入り、ギリギリで出場権を手にした最終戦。メジャーの舞台で大きなチャンスを得た。最終日最終組でのラウンドは今大会で、アマチュア時代の3度を含め実に16度目となる。「もう常連じゃないですか」と自虐的に笑う。だが、単独首位で最終ラウンドをティオフするのは初めてとなる。
それでも、これまでの度重なる苦い経験が、慎重な姿勢を崩させない。「あまり関係ない。初めてなんで分からない。展開的には有利かもしれないけれど、(3打差は)あって無いような差ではあると思う」と柔らかな表情で言った。「特別なことはせずに、自分のできることを“バカになって”やることが大事」。初勝利へのカウントダウンも、同じリズムで刻んでいく。(東京都稲城市/桂川洋一)