谷原秀人、復活の10勝目 満を持してW杯へ!
静岡県の太平洋クラブ御殿場コースで開催された国内男子ツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」最終日。谷原秀人が3日目に奪った単独首位の座を守りきり、2010年「VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント」以来となる3シーズンぶりの勝利を飾った。1バーディ2ボギーの「73」とスコアを落としたが、2位の石川遼、近藤共弘、川村昌弘を1打差で振り切り、通算10勝目をマークした。
突き上げられても、並ばれても、谷原は最後まで揺るがなかった。前半3番(パー5)でバーディを先行させながらも、その後はチャンスを活かせずパーを並べる展開。2打差の2位から出た同組の川村昌弘には6番(パー5)で並ばれ、石川遼らにも迫られた。
15番からの2連続ボギーで、中盤に後退していた川村との差は再び1ストロークに。しかし「風のジャッジが難しかった。距離感が最後までつかめなかった」という17番(パー3)では、最終組でただ一人パーオン。そして最終18番は右のセミラフから残り209ヤードの第2打で、池を避けグリーン左の安全なエリアに運んだ。「風がフォローだったので、上の段には行かせたくない。攻めるところでもないし、100%いいところに打てた」。我慢を重ねた末の、最も緊迫した逃げ切りの場面で、盤石の攻めを見せた。
3年越しの通算10勝目。若くして一時代を築いた35歳にとっては、時間のかかった節目の勝ち星だった。一番の原因は3年前に発症した肩痛。「自分の納得いくショットができていなかった。飛距離も落ちた」と苦しんだ。しかし転んでもただでは起きない。「グリーンに乗らないから、逆にリカバリーはうまくなった」。昨年、そして今年も平均パット部門で全選手中トップの数字。「ティショット、アイアンがある程度真っ直ぐ飛べば…という自信があった」と、辛抱強くこの瞬間を待ち続けた。
「これで自信をつけて、昔のように(年間)2、3勝できるようになっていきたい」
次週は石川遼とともに「ISPSハンダワールドカップ」に出場するため、この日の夜に渡豪を予定。最高の形で、日の丸を背負う。「遼と力を合わせて、丸山(茂樹)さん、伊澤(利光)さん以来の優勝カップを持ち帰りたい」と2002年大会の“再現”をファンに誓い、足早にクラブハウスを後にした。(静岡県御殿場市/桂川洋一)