「頑張らない」を頑張って首位発進 河本力は次週最終戦で姉の結とタッグ
◇国内男子◇カシオワールドオープン 初日(21日)◇Kochi黒潮CC(高知)◇7335yd(パー72)◇晴れ(観衆1622人)
400ydと表示された後半1番のパー4は、強振すれば1オンのチャンスがある。河本力はそう分かっていても、1Wでフルスイングしなかった。「今週のテーマは『頑張らないこと』なんで」。花道から25ydほどのチップショットができれば十分。1m強のパットを沈めたバーディに大いに納得できた。
終盤に入った右ドッグレッグの7番(パー5)も、ティショットで無理に右サイドにターゲットをとらず、1Wでのフェードボールできっちりフェアウェイをキープした。2打目に残った290ydは追い風を受けた2Iで絶好の距離。ピンの左3mを捉えるスーパーショットを披露し、イーグルチャンスを外しても「下りのパットはすごく速い」と気落ちする様子を見せなかった。
9バーディ、1ボギーの「64」で8アンダー。9月の「フジサンケイクラシック」以来となる初日首位のポジションは欲をかかずにつかんだ。
ツアー屈指のパワーヒッターは「自分の中では本当に3割くらいの力感で」打つことを心がけ、番手間の距離が残っても、長い方のクラブで力を加減してショットを続けた。「そうやっている時の方が絶対にうまくいっている。特に予選ラウンドは頑張らない方が」。今季は勝利をつかめないまま、あと2試合になった。お隣、愛媛の小学校に通った時代から知るコースでも穏やかな精神状態を貫く。
実は力が入りそうな試合が来週にある。最終戦の「日本シリーズJTカップ」(東京よみうりCC)でキャディバッグを姉の河本結に預ける予定。「前から『JTは私が勝たせる』ってずっと言われていた」と笑う。「前半戦はボロボロでJTに出るところではなかった」苦しい1年は2週前の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で急転。2位タイに入り、賞金ランキングを押し上げた(現在23位)。
2年シーズンぶりに優勝してラストゲームに乗り込めたら最高だ。そのために「あしたも『気づいたら8アンダーだった』というゴルフ」を続けたい。怪力を見せるのは日曜日の午後でイイ。(高知県芸西村/桂川洋一)