悲願の“カシオ初勝利”は賞金王への道 石川遼「恩返しの機会」
◇国内男子◇カシオワールドオープン 事前情報(20日)◇Kochi黒潮CC(高知)◇7335yd(パー72)
石川遼がカシオ計算機と初めて所属契約を結んだのは11年前にさかのぼる。ことし3月には契約を2026年3月まで延長。腕時計「G-SHOCK」の広告塔を長らく務め、ホストプロとしてプレーする本大会では、同社の電子辞書を高知県等の小学校に寄贈してきた。ことしは初日のラウンド後、電子ピアノをやはり高知の小学校に贈呈する。
長いあいだ、互いにサポート関係を築いてきたからこそ、通算20勝のうちにカシオワールドオープンのタイトルがないことが、石川はもどかしい。「やっぱり意気込むところもあります。大会の結果は非常に分かりやすい形で恩返しができる機会でもある」。過去13回の出場で2位が3回(09、15、17年)。あと一歩が及ばないゲームがいくつもあった。
待望の初勝利はことし、さらなるビッグタイトルにもつながる。2週前の「三井住友VISA太平洋マスターズ」でのシーズン2勝目により賞金ランキングは5位に浮上。トップを走る平田憲聖に約3188万円差で残り2試合を迎えた。今週と次週の最終戦「日本シリーズJTカップ」の優勝賞金はいずれも4000万円。2009年以来の賞金王戴冠のチャンスがある。
「来週まで(賞金王争いが)もつれたら最高かなと思う。自分としてはやっぱり来週までチャンスを引き延ばしたい。まずは優勝争いに自分が加われるかに集中したい」。国内ツアー終了後にはすぐに米ツアーの来季出場権をかけた2次予選会出場のため、カリフォルニア州に向けて渡米する予定。その前に、伸び盛りの若手たちとのし烈な戦いが待っている。
開幕前にはレトロなパターを握って調整した。オデッセイ「ホワイトホット 2ボール」のセンターシャフトモデルは20年以上前の製品。夏場にピン型からお馴染みのL字マレットにスイッチし、最近、ストローク中にフェース開閉の過度な動きが入り始めたと感じていた。「いろんなグリーンに対応するために選択肢をいくつか持っていたい」と、別のセンターシャフトのネオマレットタイプも準備している。
大会は2年前、チャン・キム(米国)によって通算32アンダーという4日間の最多アンダーパー記録が樹立された。「10年くらい前なら(優勝スコアは)16、17アンダーという感じでしたけど、今は20アンダーに届いたりする。アベレージのスコアは(10年前よりも)1日で1打くらい良くなっている感じ。バーディをたくさん獲れるかというよりも、いかにボギーを減らせるかが大事になるかなと思う」と石川。スコアの伸ばし合いに、まずはしがみ付きたい。(高知県芸西村/桂川洋一)