スーパーイーグルを披露も… “脅威のジュニア”松山茉生の可能性
◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 初日(14日)◇フェニックスカントリークラブ(宮崎)◇7042yd(パー71)◇晴れ(観衆2522人)
松山英樹が5mのバーディパットを外した。石川遼はピン奥1.5mからパーパットを流し込んだ。567ydの後半4番(パー5)で、一番最後にパットを打ったのが、16歳のアマチュア松山茉生(まお)。1mを難なく沈め、ツアーデビューで17位フィニッシュした9月「バンテリン東海クラシック」で2個奪って以来3個目のイーグルをものにした。
「ティショットはちょっとひっかかり気味だったんですけど、フェアウェイに残ってくれました」。右奥のピンまで264yd。2番アイアンを手に、182cm、90kgの体でボールをハードヒットすると、ピン左にビタッと2オンした。「グリーンセンター狙いで打っていけば、左からの風で流れていくと思って…。完璧でした」と会心のイーグルに声を弾ませた。
6月「日本アマ」タイトルを15歳344日の史上最年少で手にし、9月「バンテリン東海クラシック」中に開催されたドラコンはプロを押しのけ、349.6ydで制した“脅威のジュニア”が使うウッドはドライバーだけだ。下の番手は2番アイアンからでウェッジ3本にパターの14本。そんなとんでもないクラブセッティングの理由を、父・阜司(あつし)さんが苦笑いで説明する。
「今まではジュニアの試合が中心でしたし、フェアウェイウッドはいらなかったんです。2Iで270~280ydですから」。むしろ飛ばし屋だけに「下の番手が厚めでいいと思うので、ウェッジは4本入れたい感じです」と話す。今はまだ“ジュニア時代のセッティング”で戦っており、来年から現在調整中の3番ウッドを使っていく予定だという。
この日は3つ上で19歳の兄・怜生(れお)さんをキャディにプレー。ツアー出場4戦目だが、同組が松山、石川というビッグネームだけあって、茉生は「スタートからかなり緊張してしまって。時間が経つのが早かったです」と振り返る。2人から何度も話しかけてもらったが「緊張と集中していて、何を話してくださったか覚えてないんです」と申し訳なさそうだ。
1イーグル1バーディ、7ボギーの4オーバー「75」。パー3を除く14ホールのうち、刻んだのは2ホールだけで12回、ドライバーを握った。石川遼が言う。「僕もヒデキも彼の今日のスコアなんか見てませんよ。彼のポテンシャルしか見てません」―。16歳の79位からの巻き返しへ、原石の輝きを見せていくだけだ。(宮崎市/加藤裕一)