東京GCの思い出は「ジャンボさんの上半身と砂ぼこり」 石川遼14度目の日本OPへ
◇国内メジャー◇日本オープンゴルフ選手権競技 事前(9日)◇東京ゴルフ倶楽部(埼玉)◇7251yd(パー70)
「帽子に無言でサインをしてくれたのを、すごく覚えています。その日から襟足を伸ばし始めましたね(笑)」。石川遼にとっての東京ゴルフ倶楽部の思い出は、ギャラリーとして訪れた2001年「日本オープン」にさかのぼる。記憶に残っているのは、会場で感じたジャンボこと尾崎将司の存在感。24位と優勝争いから遠い位置にいても、練習場にできた人だかりに驚いた。
10歳だった石川が父親に肩車をしてもらって、やっと見えたのは「ジャンボさんの上半身」。ちょうど真後ろから見えた弾道はもちろん迫力満点だったが、それよりも「とんでもない人の数で、砂ぼこりとか、ドタドタっていう足音とか。とんでもない人なんだっていう衝撃を受けたのを覚えています」と間近で感じたレジェンドの空気感ははっきり記憶に残った。
33歳を迎えた今年は、出場選手として地元・埼玉県での「日本オープン」に戻ってきた。日本オープンには14度目の出場になるが、例年よりも難しいセッティングになりそうだと予想する。「過去経験した中では、1位2位を争うくらい深いラフ」。もともと大会側が120㎜を想定していたラフの長さは、台風の影響で機械での手入れが進まず150~200mmに成長。「深いラフに入ると、(ボールが)見つかったらラッキーって思う感じ」とフェアウェイを外せばピンを狙うのは難しい。月曜、火曜と降った雨の影響でフェアウェイが湿ってランも出ず、「選手によってゲームプランがはっきり分かれるセッティング」と戦略を巡らせている。
日本オープンは2008年、09年、昨年の3度の2位が最高位で、優勝には届いていない。「最善を尽くしていけば上位に行けるはず。先週も予選落ちしていますし、しっかりゆっくりやっていきたい」と初制覇を懸けて臨む。「あの経験が今の自分に絶対につながっている」と思い返した23年前のレジェンドの姿。今年は自分が、地元で多くのファンを引き連れてプレーする。(埼玉県狭山市/谷口愛純)