再び「忘れられない」景色へ 幡地隆寛は雪辱誓うメジャーへ最高の弾み
◇国内男子◇バンテリン東海クラシック 最終日(29日)◇三好CC西コース(愛知)◇7300yd(パー71)◇曇り(観衆3906人)
「去年の日本オープンが忘れられない――」。幡地隆寛にとって、いまも優勝争いを演じたメジャーの景色が強く記憶に残っている。首位と2打差で迎えた最終日、2サムラウンドは同順位の石川遼と同伴した。「もう一度あのシチュエーションになったら勝ちたいという強い意志がある」。3位で終えた雪辱に向けて、今週は弾みをつけたい大会のひとつだった。
本大会は過去4回の出場で予選落ちはなく、最高位は2021年の9位。「例年、この週を機に調子が上がっていく相性の良いコース」と話す三好CCは、2011年に出場した「日本アマ」の予選2日間で12オーバーをたたいた「手も足も出なかった」場所でもある。それから13年。72ホールの大会最少ストロークを2打更新する「267」をマークし、通算17アンダーで今季2勝目を飾ってみせた。
3位から出た最終日に7バーディ、1ボギーの「65」をマークして1打差を逆転。「狭いけれど年々印象が変わっていく。自分が上手くなっている証拠にもなるコース」で、今年はさらなる成長を示した。前半アウトで2つ伸ばし、首位に1打差のままハーフターン。目まぐるしく首位が入れ替わる展開で、ピンそば1mにつけた13番(パー3)のバーディで首位に並んだ。
最大のハイライトは、グリーン左側に崖が迫る、4日間トータルの最難関ホールとなった16番パー3。左サイドに切られたピンに対して「怖がらず左にセットアップして、左サイドぎりぎりをフェードで狙った」という7番アイアンで放ったボールは、187yd先のピンそば50cmにピタリ。7つ目のバーディで混戦の優勝争いを一歩抜け出し、そのまま1打差で逃げ切った。
「まさか優勝できるとは。日本オープンの前に仕上がっちゃった」と冗談交じりで笑ったが、当初のプラン通り、2週後に向けて最高の流れを築けた。賞金ランキングは16位から8位に浮上し、日本オープン終了時点のランク上位8人が資格を得る「ZOZOチャンピオンシップ」(10月24日開幕 千葉/アコーディア・ゴルフ習志野CC)への初出場にも前進した。
今季賞金は5253万7907円に達し、昨年(4171万9720円)を超える目標も達成。「しっかり日本オープンも勝ちたい」。次のターゲットを、はっきりと言葉にした。(愛知県みよし市/塚田達也)