“勝ち確”の100点満点ショット 平田憲聖が解いた呪縛「清水大成さんと回ると…」
◇国内男子◇パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 最終日(22日)◇有馬ロイヤルGC ロイヤルコース(兵庫)◇7100yd(パー72)◇雨(観衆2242人)
後半14番、211ydと距離のあるパー3には前日までと違う左からアゲンストの風が吹いていた。「でも、むしろ、あの風が良かったんです」と平田憲聖はうなずく。クラブは高精度が自慢の4I。軽いドローボールを風にぶつければ、左奥ピンを狙うにはちょうどいい。
オナーで打った一撃は「あれはもう、ホントに100点満点。十分すぎるショットで完ぺきでした」と自画自賛するほど。1.5mに絡めるバーディでリードを3打に広げ、バッグを担ぐ重友稜央キャディも「すごいショットでした。あれで『勝ったな』と思いました」と笑うしかなかった。
スタート時は同じ最終組の清水大成に2打ビハインドの状況。雨が降って思うようには伸ばせない可能性も考えられる中、まずは3打差以上に広げられないことに集中したという。「楽にプレーさせてはいけない、と。追いかける立場で苦しかったけど、僕が清水さんの立場だったら“2打差を広げたい”と思うのが当たり前。それができていないことで、清水さんも苦しい展開だったと思います」。1番(パー5)で2人ともバーディを奪った後はパーが並ぶ流れ。差が縮まらない状況でも焦らなかった。
清水のボギーで1打差に詰まって迎えた9番でティショットが大きく右に出た。カート道で跳ねたボールは救済を受けることができたが、ドロップした後のライが良くなかったと振り返る。「最初は46度で行こうと思っていたけど、(ライで)飛ばなそうだったので直前に9番に持ち替えました」。どこまでも冷静なジャッジで1.5mにつけるバーディ。並んで迎えたサンデーバックナインの12番まで4連続を奪って抜け出した。
今季だけで4度目の最終日最終組だったが、清水と一緒に回った5月「関西オープン」では同じ組の幡地隆寛に優勝をさらわれた。その翌日に臨んだ「全米オープン」の日本地区最終予選会では4人のプレーオフで清水が切符を獲得。「尊敬している先輩で、すごく良くしてもらっているんですけど、一緒に回った時は正直自分のプレーがいい印象があまりなかったんです」と苦笑する。
破竹の勢いで突き進む今季にあって、不思議な“呪縛”を破る会心の「65」で逆転優勝。「前よりは自分のプレーにフォーカスできるようになってきて、清水さんやほかの選手がいいショットを打とうが、自分のプレーに影響を与えなくなってきた」と23歳の若さで積み重ねた経験値に胸を張る。
通算6勝目にして地元関西でのタイトルは初めて。「今週は優勝だけを見て入ったので、本当にうれしい」と充実感に浸りながら、さらに大きな目標を見据えることを忘れない。獲得賞金1億円を突破してトップを快走する賞金レース。「ここまで来て意識しない方がおかしい。そこ(賞金王)が目標ですし、でも、だからといって、何も変わることはない。毎週大きいトーナメントがあるので、また勝ちを積み重ねられるように」。クールに、それでいて熱を秘めたプレースタイルそのままに誓いを立てた。(神戸市北区/亀山泰宏)