コース復旧作業は深夜1時から “気まぐれ”台風に総力戦で36ホール決着
◇国内男子◇フジサンケイクラシック 最終日(1日)◇富士桜CC(山梨)◇7424yd(パー70)◇雨(観衆488人)
「あれほど気まぐれな台風はない。よくコースが耐えられたと思います」と戸張捷ゼネラルプロデューサーは話す。悪天候による初日からの順延で54ホール決着を目指していた大会は、この日も悪天候が続いて第2ラウンド再開を前に36ホールへの短縮を発表した。「54ホール、一丸となってやるぞと声かけしてきたんですが…」。深夜からコース復旧に駆け回ってきたグリーンキーパーの和泉秀峰(いずみ・しゅうほう)氏は肩を落とした。
台風10号の影響による悪天候で初日から3日間連続のサスペンデッド。国内男子ツアーの36ホール決着は、2019年「ブリヂストンオープン」以来9度目となる。本大会では諸藤将次が優勝した2011年に続いて2度目だった。
今回は特に動きが遅く、進路も読めない台風の予報を前週から確認しつつ、大会側は臨機応変に動いてきた。最も被害が大きくなるとみられていた火曜、水曜が終わるまでテントなどの設置を見合わせた。本来開幕前に撤収するはずの設営業者にも残ってもらい、通常のトーナメントから1.5倍の人員で万が一に備えたという。
開幕してからも大変だった。大雨の影響で崩れたバンカーなど、直しても直しても、悪くなっていくコースコンディション。連日深夜から行われた復旧作業は、この日も深夜1時過ぎから60人体制で始まった。大会2日目に決まった54ホールの完遂を目指し、最後まで可能性を探った。スタート時間が流動的となる中、各日120人のボランティアスタッフも毎朝6時にはコースに入って待機してもらっていた。
第3ラウンドを行った場合、最終組は午後5時前後にホールアウトできる試算だった。しかし、悪天候が続く状況でさらに中断を挟めば、2日から始まる「日本オープン」最終予選(2会場)、韓国で5日に開幕する3ツアー共同主管の「シンハンドンヘオープン」の出場選手にも影響が出る。和泉氏は「54ホールは行きたかったですが、まずは36ホール無事に終われて良かったです」と、競技成立にほっと息をついた。(山梨県河口湖町/谷口愛純)