日本アマ覇者、バーテンダー、ドラコン選手…異色キャリアの33歳が目指す二刀流
◇国内男子◇フジサンケイクラシック 事前(28日)◇富士桜CC(山梨)◇7424yd(パー70)
試合では1Wのヘッドスピードを58 m/sに、飛距離はキャリーで320ydに“抑えている”と話すのは、ドラコンプロとしても活動する櫻井勝之。「ドラコンの時は64 m/sですかね」と、本気を出せばキャリーで360ydはラクに超える。「誰もやっていないことが出来たらと思って」と、33歳で目指しているのはドラコン選手とツアープロの二刀流だ。
今週は予選会(マンデートーナメント)を通って出場権を獲得。QTランク84位で下部ABEMAツアーを主戦場にする櫻井は、ちょっと変わった経歴の持ち主だ。杉並学院高校を3年時に中退して米国留学へ。帰国後は明大に進学し、2011年の「日本アマ」を制して在学中にプロ転向した。
その後は右手首と右ひじの手術を受けるなどケガに悩まされ、一時はツアープロの道を断念。28歳でゴルフを離れ、親が営む飲食店で経営を学んだ。「バーで店頭にも立って、月曜から土曜まで働きづめでした」とゴルフは遊びで楽しむ程度だったが、30歳を迎えて「やっぱり後悔したくない」とゴルフ熱が再燃。「プロと言っても、色々な稼ぎ方があると思う。なにか面白いことがしたかった」。ツアー参戦を目指しながら、選択肢の一つにあがったのがドラコン選手だった。
もともと飛距離には自信がある。周囲のアドバイスを受けながらトレーニングで10kg増量し、現在は身長177cmで体重83kg。2022年にはドラコン競技「ロングドライブ世界選手権」に出場し、ブライソン・デシャンボーと同組で戦ったこともある。
今年は来季レギュラーツアーの出場権を目指すため、いったんツアーに専念。ドラコンとツアーでは、トレーニングもクラブも体の使い方も全く違う。「ドラコン用にスピードを求めすぎたトレーニングをすると、ウェッジやパター、アイアンの感覚がおかしくなる」と、ツアー中は軽めのウエートトレーニングをメインにする。1Wも、今週はキャロウェイ「パラダイム Ai スモーク ◆◆◆(トリプルダイヤモンド)」(ロフト角8度)に硬さTXのシャフトを挿しているが、ドラコンになれば「フケちゃうので」とロフト角を3~5度に調整。シャフトも、大きくしなるレディスモデルの硬さSに替える。
現在ABEMAツアー7試合を終えて、賞金ランクは61位。「20位くらいに入って、来年の前半戦に出られたら。それでドラコンもまた始めて、どちらもできたらと思っています」と目標を掲げた。
今週は、日本縦断が見込まれている台風10号の影響で悪天候の予報。「雨も降るし、飛べば少し有利かな」。戦々恐々とする選手の多い荒天も、持ち前のパワーがあれば味方になる。(山梨県河口湖町/谷口愛純)