優勝直後に予選落ち…石川遼が向き合う「自分の中にこびりついている問題」
◇国内男子◇長嶋茂雄招待セガサミーカップ 事前(10日)◇ザ・ノースカントリーGC(北海道)◇7178yd(パー72)、7045yd(パー71)
国内ツアー通算19勝の石川遼が、優勝直後の大会で予選落ちしたのは実質2回だけ。最終日に「58」を出した2010年「中日クラウンズ」2週後の「日本プロ」、それと19勝目を挙げた3週前「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ」後の前週、奇しくも同じ「日本プロ」しかない。
18歳だった14年前と違い、経験を積んだ32歳の今回はある意味“分岐点”になるかもしれない。
予選落ちの原因を「自分のロングゲームの精度、現在地を知りたくて、今までなら安全策をとるようなコースで、少し背伸びして、それがハマらなかった」と説明し、もう一つ踏み込んで話し始めた。
「実はもっと根深いというか…。スイングだけの問題じゃない。この10年ほど、ずっとドライバーで悩んできて、スイングで“かなりそれを払拭できた”と思っていた。でも、自分の中に“こびりついている問題”があって、それに引っ張られてしまった」
自分のゴルフのベースと信じるドライバーがうまくいかない。そこに向き合って2020年から大胆なスイング改造に踏み切り、22年「三井住友VISA太平洋マスターズ」、「ジャパンプレーヤーズ―」で勝った。結果がすべてではなくても、この4年弱の取り組みに確信を感じ始めた矢先に「想定していなかったものが顔を出した」という。克服したと思った過去のミス、不安がトラウマのようになって、厳しいセッティングの国内メジャーで自分に襲いかかってきた。
とはいえ、石川がシーズン前半戦で優勝したのは、米ツアー参戦期間(13―17年)を除いて4度目。過去は09年4勝、10年3勝、19年3勝といずれも複数回優勝を達成している。今年は5年ぶりの“いい流れ”だ。まして、今週は14年、19年と2勝した相性のいいコース、大会になる。
「今回(の予選落ち)は、だいぶ心に来ました。でも(それを克服するのは)“これからの俺に絶対必要なもの”と思ってます」。今週のザ・ノースカントリーGCではパー3を除く14ホール中11ホールでドライバーを握る可能性が高い。「プロセスを100%やりきりたい」という石川が新たな“古い課題”と向き合っていく。(北海道千歳市/加藤裕一)