妙技に「ああいうことばっかやってるから」片山晋呉がただ一人のノーボギー
◇国内男子◇関西オープン 初日(16日)◇名神八日市カントリー倶楽部(滋賀)◇6869yd(パー70)◇曇り(観衆824人)
ボールを前に、片山晋呉が考えた。後半8番のアプローチ。ライは花道でまずまずだが、グリーン面まで高低差1m以上を打ち上げる形となり、ピンまで約15yd。おまけに猛烈なフォローが吹いている。選んだクラブは6番ユーティリティ。パットのように転がしたボールはグリーンに届くと減速し、カップ20cmで止まった。
「おじちゃんね、ああいうことばっかやってるから」とおどけて、最終9番ティイングエリアに向かった片山はホールアウト後「あれは球を上げたら絶対寄らないから」と解説した。
8番だけではない。5、6番はガードバンカーから寄せるなど上がり5連続1パット・パーでしのいだ。強風の影響もあり、2連覇を狙う蝉川泰果が1番でOB2連発から「8」をたたくなど多くの選手が苦しむ中、2アンダー「68」で10位発進。ノーボギーは出場150人中一人だけだった。
片山の日大ゴルフ部後輩で、同組で回った23歳の杉浦悠太も「68」だったが、6バーディ、4ボギー。「片山さんはグリーン周りがもちろんうまいんですけど、毎回寄るわけじゃない。2mのパーパットが残ることもある。でも、それを入れる。そこがすごい」。6Uを使った場面も「あれはナショナルチームで教えてもらっているけど、それを実践して結果につなげることがすごい」と振り返った。
片山は「きょうはスタート前から難しくなるのは分かってたから覚悟してた。だから、どうなっても動揺せずにできた。まあ、このコンディションは技術のない子にはしんどいよね」。持てる“引き出し”を全開して、ツアー通算31勝、永久シードの貫禄を見せた。「でも、ノーボギーは最高でしょ?」と我慢の一日を振り返った。(滋賀県東近江市/加藤裕一)