1年前には寝坊で失格 翔雄と書いて「しょうた」が挑む名誉挽回
◇国内男子◇For The Players By The Players 2日目(10日)◇THE CLUB golf village(群馬)◇7172yd(パー72)
所属先の社長に「絶対にアカンぞ」としかられたのは、昨年のちょうど今頃だった。下部ABEMAツアー「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP CHALLENGE in FUKUI」で、吉本翔雄(よしもと・しょうた)は8位発進を決めた翌日に寝坊した。
目覚めたのはスタート時間の5分前。花粉症の薬の副作用と、アラームをセットしたスマートフォンの充電切れというアンラッキーが重なった。当然スタートに間に合わず、そのまま失格。チャンスを無駄にしたことよりも「一番怖かったのは、所属先の社長に何と言われるか…」。急いで株式会社三輝(本社・大阪市北区)の中道高司社長に謝罪の連絡を入れると「次の試合に影響するか、ちゃんと確認してこい。とことん謝ってこい」と心配してくれたのがありがたかった。
「寝坊って、社会人として絶対にあり得ない」と深く反省した翌週は「太平洋クラブチャレンジトーナメント」を5位で終えて胸をなでおろした。同年のABEMAツアー賞金ランキング21位でレギュラーツアー昇格を果たすと、今週さらに名誉挽回のチャンスが巡ってきた。
40位から出た2日目に7バーディ、3ボギー「67」で回って、11ptを加算。通算18ptとして10位で予選を通過し、自身3試合目のレギュラーツアーで初のトップ10入りも見えてきた。
実は今週の調子の良さの一因も中道社長にある。開幕前にラウンドレッスンを受けた近畿大の井関剛義監督は中道社長の紹介で知り合った。「アドレスでつま先に体重を乗せると、スライス回転がかかりにくくなる」とアドバイスされ、フェードがかかり過ぎるミスが減った。「その効果が出ている」と2日間の好プレーにつながった。
今年はまず、賞金シード獲得を目指す。現在の出場資格ではシーズン前半までしか出られないため、リランキングが行われる8月「フジサンケイクラシック」までに稼がなければならない。「後半戦を合わせて2000万円くらい稼げたら、シード選手にもなれると思う」。“寝坊事件”から1年、「すごく支えていただいています」と社長に成長した姿を見せつつ、リランキング突破につなげたい。(群馬県安中市/谷口愛純)