“生々しい悔しさ”とともに開幕 石川遼「アップデートした自分を、自分に見せたい」
◇国内男子◇東建ホームメイトカップ 事前(27日)◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)◇7069yd(パー71)
昨年10月、日米共催の「ZOZOチャンピオンシップ」で石川遼は4位タイに入った。PGAツアーでのトップ10フィニッシュは7年ぶりだったが、「去年一番悔しかったのはZOZO」と言い切る。
2位にも6打差をつけたコリン・モリカワに届かなかったことではない。「“それ”がなくても絶対に勝てなかった」と受け入れた上で、サンデーバックナインの2ホールを切り取った。ダブルボギーをたたいた12番は、わずかに右ラフに入ったティショットのライが「壊滅的」でレイアップから3打目に100ydほど残すところまで、直前でボギーを喫した11番と共通していた。「ボギー、ボギーを受け入れられなかった自分がいて、焦ってしまった」
14番(パー5)からの3連続バーディでスコア上は帳消しにしたが、冷静に振り返って唇をかむ。「バウンスバック的なことって、あんまり当てにならないというか、やろうと思ってできることじゃない。できた時は“美談”になるんですけど、再現性としては一番低いことなのかなって、手前(スコアを落としたホール)の方をどうにかできたんじゃないか…って思うんですよね」。右ピンの右サイドに外してボギーにした17番とともに、内容として見過ごせないゴルフだった。
「結果、4位だったかもしれないですけど、あんな悔しいことあるかなって。『これを一生続けていたら、オレは無理だぞ』って」。ショットもパッティングも状態としては申し分なく、“上振れ”のチャンスを大いに作れていたからこそ、自分のジャッジでそれを手放しそうになったことを戒めとして胸に刻む。
最終戦「日本シリーズJTカップ」でも3日目の「62」で一気に優勝圏内まで浮上してから最終日の「73」で7位に後退して終戦。「去年から得られているところって、やっぱりその苦い経験。最後まで返せなかった借りを、今年返さなきゃっていうのがありますね」と言った。
スイングの出来に一喜一憂する段階は通り過ぎた。ゲーム運びや、勝負の局面でのマインドセット…。「厳しい目を向けて、そういった部分で去年よりもいい自分、アップデートした自分を、自分に見せたい」。戦い方にこだわって新たなシーズンに臨む。(三重県桑名市/亀山泰宏)