「変えていない」が物語る 石川遼は継続と洗練の2024年へ
国内男子ツアーの2024年シーズンが「東建ホームメイトカップ」(28日~/三重・東建多度CC名古屋)で幕を開ける。
23日に茨城ゴルフ倶楽部で「三井住友カードPresents ジュニアゴルフレッスン会」を実施した石川遼もオフの活動にひと区切りをつけ、初戦の会場へと向かった。
トーナメント出場は昨年12月「日本シリーズJTカップ」以来。4カ月近いブランクを挟んだが、「僕の中で日本シリーズは、ついこの間終わった感じのまま。朝にこういうルーティンでやっていた…というのも覚えている」。モチベーションを途切れさせることなく調整期間を過ごしてきた。
言及したルーティンは朝に限らず、昨季を通して模索していた部分でもあった。トーナメント週の火曜日と水曜日に何をして試合に備えるか、トレーニングをいつ挟むのか…。シーズン終盤に自分なりのモデルを見つけられたと感じている。「日本シリーズの結果がすごく良かったというわけではない(7位)ですけど、自分のゴルフのパフォーマンスを保つために大事な要素を詰め込んだ朝の練習ができたと思っている。それを確信に変えていきたい」
そのひとつがロングパット。日本シリーズでは練習グリーンの縦幅を目いっぱい使うくらいの距離を入念に転がしたという。「(練習で)12mとかをやっていても、18mとかのロングパットが一発残ると、『ウッ』ってなる。25mくらいをやり続ければ、12mも(対処できる)レンジに入ってくる」。比較的グリーンの小さなコースが相手となる週も同様だ。「『今週こんな長いパットを打つことないよ、遼』って思われても、とにかくロングパットの距離感を磨き続けるということ」と話し、長いランニングアプローチとともにポイントに挙げた。
未勝利に終わった2023年も振り返れば「1年を通して、ショットの内容はほぼ変わらなかった。明らかに調子がいいとか悪いっていうのがそこまでなくて、それは僕が望んでいたこと。ゴルフ人生で、ほぼできていなかったことでもある」。追い求めてきたショット力のベースも含めて納得しているからこそ、「正直、ショットもアプローチもパットも、特に去年から一新したり、変えていることはないです。それが物語っているのかな」。クラブセッティングで最適解を探す一方、技術的な要素は継続的な取り組みで磨き上げる。
結果につなげていく上での課題にも触れた。「自分が決断したことに対してよどみなくやり切る…それは去年ほとんどできなかったですよね」。ショットとともにゴルフの物差しとして重視しているマネジメントの部分だ。コースだけでなく、自らをマネジメント(管理)できているか。「例えばボールのライに対してピンポジションが難しいとか、チャンスホールなのにピンチを招いてしまったとか…。想定とは違うことが起きた時の状況判断、そして決断したことをやり切ること」。成功すればリターンが大きいギャンブル的な選択に手を伸ばしたくなる“欲”とも闘いながら、冷静なジャッジを下して実行していく。
シーズンインを目前にして「数字の目標は決めていないですね」と言った。自らの掲げるゴルフをやり遂げられれば、結果も数字もおのずとついてくるはずだ。(編集部・亀山泰宏)