日本オープン初制覇へ2打差逆転なるか 石川遼「これこそゴルフ」
◇国内メジャー◇日本オープンゴルフ選手権競技 3日目(14日)◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪)◇7315yd(パー70)◇曇り(観衆5277人)
あえてピンも、グリーンも狙わない――。タフなセッティングであればあるほど、シビアなジャッジを迫られる局面は増える。「打つのは自分ですから、判断は好きにしていい。どこを狙って、何で打つか。(今週も)すごく試されるコンディションだと思います」。石川遼は、どこか楽しそうにうなずく。
527ydと長いパー4の7番、まさにそんなシーンが訪れた。この日の平均スコア「4.547」は、最も易しいホールになったパー5の2番と変わらない最難関だ。1Wショットを左に曲げ、ラフからのセカンドを打つ前に迷った。「グリーンのそばまで行くか、行かないか、ですね」
ピンまでは240ydほど。4UTでグリーンを狙っていける距離でも、左前方の木が邪魔になる。石川はUTでのトラブルショットを必ず少しフェードさせるイメージで打つ。木の右側を通して右に曲がるボールを打てば、右に大きく外す可能性も高まる。グリーン右ラフから左奥ピンへの寄せは「最高」と望むところだったが、あまりにも遠ざかれば厄介。かといって左に曲がるドローで木をかわそうとしても、ラフから繊細なコントロールは難しい。
8Iでフルショットをして、フライヤー狙いで距離を稼ぐことも考えたという。ただ、再びラフに入って3打目で50、60ydと中途半端な距離を打たされるリスク、さらには2打目自体を大きくミスする危険性を考えて却下した。
短い時間、脳内で繰り広げたシミュレーション。結局フェアウェイに刻んで残り130yd前後からのウェッジ勝負を選び、3mの“ガッツパー”を拾った。「『4』(パー)で上がれたら最高すぎるなっていう『4』だったので。『4.8』くらいの『4』というか、内容はほぼ『5』(ボギー)だなって」と独特の表現で喜んだ。
後半10、11番と1Wショットが右に出て2連続ボギーを喫したが、トータルでは「69」。3日間とも60台をそろえ、首位と2打差の通算4アンダー3位と大会初制覇の可能性を大いに残して最終日を迎える。
「ホントに楽しみ。キャッキャ、キャッキャやる楽しさではないですけど、自分の中で胸が躍るような、ワクワクする楽しさがある」と笑い、アマチュアだった2007年大会から始まって13度目となる日本オープンへの思いもにじませた。
「全米オープンだったり、日本オープンだったり、ゴルフが強い、うまいと言われる人に求められるものを特に求められる試合だと感じる。日本で一番高いレベルのものを求められる大会であり、ゴルフの面白さ、厳しさを教えてくれる。そういう意味では“これこそゴルフ”なのかな」。王道を極めた先の頂点に挑む。(大阪府茨木市/亀山泰宏)