谷原秀人が見せた“オトナの余裕” 今季2度目の逆転V
◇国内男子◇ANAオープンゴルフトーナメント 最終日(17日)◇札幌GC輪厚コース(北海道)◇7066yd(パー72)◇曇り(観衆3128人)
終盤まで競った今季2度目の逆転優勝は、あっけない終わりだった。谷原秀人は18番のバーディパットを数十センチに寄せると、マークすることなく“お先に”フィニッシュ。ウィニングパットを噛み締めることなく、「17番でガッツポーズしたので、もういいかなって」と“オトナの余裕”を見せて不敵に笑った。
3打差3位からボギー無しの「67」で回り、6月「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ」に続く逆転優勝を飾った。「(上が)詰まってくると、なんか強いみたいです」とトップが停滞する中、5番(パー5)のバーディで通算15アンダーで首位に並んだ。
首位に並んだまま折り返し、2組前で追い上げる前田光史朗と競いながら、順位を明確に意識したのは上がり3ホール。「16番でしっかり順位を見て、並んでいるんだなと」
この時点で、通算17アンダーで谷原と前田が並んでトップ。「17番か18番で獲れば、勝ち」とスイッチが入った。ベテランの44歳、優勝争いの局面でも「そこまでプレッシャーがかからないのが強み」と程よい緊張感のなかで戦える。
17番(パー5)はティショット、2打目と続けてラフに捕まり3打目も奥のカラーに外したが、「何年もやっていますし、なんとなく雰囲気もわかる」と焦りはなかった。パターで打った6mをねじ込み通算18アンダー。先にホールアウトした前田に1打リードで単独首位に立ち、小さくこぶしを握った。
18番で優勝を決めた瞬間も、「この年になって、そこまでガッツポーズも出てこないかな」とクールな幕引き。下の世代の突き上げに刺激を受けつつ、「“このおじさんに届かせなかったぞ”っていうのが、もうちょっと欲しい。もうちょっと伸ばせる選手がいても、よかったんじゃないかなと感じます」と振り返った。
とはいえ、なかなか勝てなかった「ANAオープン」優勝は素直にうれしい。本大会にはこれが17回目の出場で予選落ちはなし。2014年には宮本勝昌とのプレーオフで敗れた記憶もある。「そうそうたるメンバーが優勝されているし、その歴史に自分の名を刻める。それだけでいい」と通算19勝目を喜んだ。
「この年になってもシーズン2勝目を挙げられる。また、若手を痛めつけていこうかなと思います」と余裕の笑顔でカップを掲げた。(北海道北広島市/谷口愛純)