1万人超えギャラリーに「グッと来た」 石川遼は2位で最終日へ
◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 3日目(12日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)
日米ツアー共催の「ZOZOチャンピオンシップ」を除けば、国内男子ツアーに1日1万人を超えるギャラリーが集まったのは、2018年5月の「日本プロ」最終日(1万573人)以来だった。50回大会を記念した入場無料の施策による、ムービングデーの来場者は1万67人。大観衆に見守られ、石川遼はとにかく歯を食いしばった。
2位スタートで迎えた前半3番(パー5)から2連続バーディを決め、首位に立ったラウンドはその後、耐える展開が続いた。第1打を右に曲げた6番でボギー。14番までにさらに2つボギーを重ねた。「ミスショットが続いて苦しかった。いっぱい、いっぱいだった」という終盤はパッティングで懸命にスコアメーク。15番、手前から4mのバーディチャンスをものにしてガッツポーズを作った。16番で2m、17番(パー3)で3mのパーパットを沈めてこぶしを握った。
ティイングエリアで3UTを握った最終18番(パー5)。首位の蝉川泰果をはじめ、1Wショットのキャリーが300ydを軽々と超える若手選手たちとは違う。「幅が許される攻めをした」と、自分の飛距離に見合うフェアウェイの広いエリアを選び、2打目も同じクラブで2オン。2パットで4つ目のバーディにして「69」でまとめ、3打差2位で最終組に滑り込んだ。
「調子は良くない」と素直に口にした。改造中のスイングもまだ完成形とは言えない。「けれど、集中はできている。試合を楽しむこともできた」とも振り返った。2019年12月の「日本シリーズJTカップ」以来、2年11か月ぶりとなる優勝が懸かる状況。これまでの通算17勝が、すべて絶好調でつかんだものでないことも知っている。
プロ2戦目での初勝利を目論む21歳とのタイトル争いが注目されるのは必至。追う立場の石川は「蝉川選手以上にガンガン行ける選手はいないので…。僕がガンガン行ったところで、彼のガンガンには及ばないですから(笑)、自分のプレーをするしかないですね」と31歳の今のゴルフに徹するつもり。
大ギャラリーを背負ってきた経験では誰にも負けない。この日、目にしたかつての“ブーム”当時のような光景に「本当に、うん、感動しました。グッと来るものがある。本当に頑張らないといけない。いろんな方の思いが詰まっている」と口元を引き締めた。過去2勝の本大会を最後に制したのはちょうど10年前。雨の中、2年ぶりの優勝に涙した。あす13日、御殿場には午後から雨予報が出ている。(静岡県御殿場市/桂川洋一)