52歳・藤田寛之、53歳・手嶋多一が賞金シード争いの伏兵に
◇国内男子◇カシオワールドオープン 事前情報(24日)◇Kochi黒潮CC(高知)◇7335yd(パー72)
1997年の末に獲得し、途切れることのなかった賞金シード選手としての生活が脅かされている。実質的に最終戦の位置づけとなった今大会を、藤田寛之は賞金ランキング70位で迎える。65位のボーダーラインを超えなければ、23シーズン守ってきたツアープロの勲章を手放すことになる。
「本当の意味でのラストチャンス」という52歳だが、高知で感じるのは時の流れ。「キャリアでしばらく、(最終戦の)日本シリーズに出られるかどうかを気にするほうが多かった。(毎年)シード争いは大変だと思っていたのが、自分(が注目される側)になっている」。今年はショットの不振から抜け出せないまま試合が過ぎていった。
シード落ちしても「生涯獲得賞金上位25位以内」の資格を行使して、来季もレギュラーツアーを主戦場にできるが、「出られればいい」という話ではない。そそくさとシニアツアーに移るつもりもない。「やっぱりここで(シード選手として)やれることが、プロとしての喜び」。逆転の望みは捨てられない。
その「生涯獲得賞金」の権利で今季を戦った手嶋多一は、賞金ランク76位で高知入りした。前週の「ダンロップフェニックス」では初日4アンダーと好発進を切るはずが、ホールアウト後にスコア誤記が発覚。「ひざから崩れ落ちそうな感じはありました。ずっとチェックをしたけれど…信じられない」と失格処分を呆然と受けとめた。
視線は賞金のボーダーラインにあるようで、「なかなかね、そんなパワーはない。2007年はここで優勝もできましたけど」と、シーズン終了後の最終予選会に向けられている。「ひとつでも順位を上げて予選会に行きたい」。前向きな表情がたくましい。シニアツアーとの兼務でスケジュールはこの秋、タフだった。「疲れ? おかげさまで金曜日に帰れたんで(笑)。ずっと休んでいなかったけれど、休めました。どこも痛くないので、ありがたい。…胸が痛いだけ」とガハハと笑った。(高知県芸西村/桂川洋一)