ゴルフ部監督兼ツアープレーヤー 阿部裕樹の二足のわらじ
◇国内男子◇ANAオープンゴルフトーナメント 初日(16日)◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース (北海道)◇7063yd(パー72)
初めての輪厚で、QT6位の阿部裕樹が7バーディ、1ダブルボギーの5アンダー「67」で滑り出した。2016年から佐野日大高(栃木県)のゴルフ部監督を務める、異色のツアープレーヤーだ。
「風の読みとグリーンのタッチとラインがすごく合っていました。朝一はダボだったけど、それ以外はすごく良いゴルフ。ハウスキャディさんが的確に教えてくれたし、水曜日に矢野東さんと18ホールをご一緒して、いろいろアドバイスを頂いた。それがすごくうまくいって、ストレスなくラウンドできました」と頬を緩めた。
教え子たちも観戦に訪れた5月「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品」で21位に入った。「部員がすごく刺激を受けたみたいで、その後の関東大会で優勝することができたんです。でも、まだ全国優勝がないので、次はそれを目標に頑張っています」と部員たちとも切磋琢磨する。
自宅は学校から道路を挟んだ「PWで届く距離」。ゴルフ部専用の寮も兼ねた建物に、妻と2人の娘、さらに高校生の部員3人で住んでいる。結果は見ているはずだが、ツアーを終えて家に戻っても、部員たちは試合のことは何も話題にしないという。「彼らなりに気を遣って『試合お疲れさまでした』とかも言わないんです。たぶん、優勝したら言ってくれると思うけど、それまでは言ってくれないと思います」
部員とともに練習をし、合宿となればラウンドも一緒にする。教え子たちには「どうやってボギーを打たないようにするかを、高校3年間で考えられるようになってほしい」と願う。「ピンしか見ていないけど、まだまだ考えることはたくさんあるよって感じです」
宍戸で8位、芥屋で13位に入るなど今季の賞金ランキングは63位。賞金シード獲得(65位)も見える位置につけている。「学生たちは言わないけど、みんなに頑張れって言われます。シードを獲ったら、あまり子供たちを見てあげられなくなっちゃうけど、試合が空いているときは全部学校に行くし、合間、合間で見られるときは全部見ます。自分のこともやりながら、やっていけたら」。監督の戦う背中を、生徒たちが見つめている。(北海道北広島市/今岡涼太)