師匠林由郎からの学び
2024/11/16 05:00
「ゴルフグローブとシューズの色を毎回合わせるくらいお洒落だった」と語る師匠の林由郎とは「アッコちゃん飛ばした180m」で新聞に載った練習場で出会った。当時10歳だった福嶋晃子が「どこのおじいちゃん?」と本人に尋ねてしまうほど、親近感と温かみがあり飾らない印象だった。母は娘を林に見てもらいたい思いから、レッスンイベントや所属先の習志野CCに“追っかけ”を続けた。その甲斐もあり、定期的にレッスンを受けられるようになったのだが、茨城訛りが強い林の言葉を、はじめは十分理解できずにキョトンとしていた。しかし林は実際に打ってみせ「ほら、まねしてごらん」と分かりやすく、優しく指導してくれた。林のレッスンの特徴はとにかくシンプル。アドレスやグリップは丁寧かつ慎重に、スイングに関しては福嶋の長所であるダイナミックさを尊重するような教えだった。その結果福嶋はメキメキと上達していき、高校時代には「関東ジュニアゴルフ選手権」を皮切りにアマチュア競技通算28勝を果たす。
「あの頃教えてくれたことは全部が今でも私のゴルフの基礎」と語るように、福嶋の根底にしっかりと根付いている。さらに林の教えは技術だけにとどまらず「プロたる所作」の学びも多かった。ファンや関係者への挨拶や声がけ、時には草むしりやゴミ掃除もコース関係者と一緒になってやった。プロである以前に人としての振る舞いを伝えようとしていたのかもしれない。「私もゴミは拾うけど、これでバーディパットが決まるといいなっていう…下心があるのよ」と笑って話す。「林由郎最後の弟子」として、その師弟関係は生涯変わることはない。