堀江貴文ゴルフ

<堀江×川淵2>ゴルフの観客が増えないのはテレビが生中継じゃないからだ

2016/09/24 11:31

川淵三郎氏vs.堀江貴文氏 対談その2

Jリーグ、Bリーグ立ち上げで手腕を発揮した川淵氏がゴルフに切り込む

【堀江貴文氏(以下、堀江)】Jリーグと英国の動画配信会社との10年2100億円という巨額放映権契約が話題になっていますけど、ゴルフに関しては、逆にテレビ局にお金を払っている図式がいびつですよね。なんで、ああいう既得権を認めちゃったんだろう。

【川淵三郎氏(以下、川淵)】ほんとだよね。

【堀江】放映権のあの構造は絶対に崩さないといけない。一番掛かっているのはテレビの経費だもん。単純にプロスポーツ選手は賞金で動くから、賞金が高いか安いかは結構効いてくると思っていて、そこは明らかに放映権の問題です。テレビ局が放映権を持っている上に、いいようにやられている。だって今、日本では試合を全部放送しないし、大体ディレイ(録画)で放送するじゃないですか。それでもなお、お金を払って放送してもらうっていうのは完全におかしいと思いますね。

【川淵】ゴルフは生じゃないと面白くないですよ。(録画だと)残りの放送時間から試合結果が分かっちゃうからね。あ、これはプレーオフないなって(笑)

【堀江】ゴルフの放映権だって売る気があるかないかの話ですよ。今だったらソフトバンクとかお金を出してもおかしくないと思いますよ。

【川淵】そう、出すんじゃないかな。そういう意味では。

関連リンク:ソフトバンクとBリーグの記者発表

【堀江】今、なんで彼ら(ソフトバンク)がバスケにこんなにお金を出しているのかというと、1つの大きな理由として、ちょうどプレミアリーグができたころ(注:1992年)と状況が似ているんです。当時はフーリガン(注:サッカー会場内外で暴力行為を働く集団)がやばくて、サッカー禁止令が出るんじゃないかってころに、ルパート・マードックがSky Sportsという衛星テレビ局を立ち上げて、その主要コンテンツとしてプレミアリーグと大型契約を結んで、そのお金でリーグが強化されるという好循環を生んだんです。

スポーツビジネスの可能性を語る堀江氏

ちょうど、あれが衛星放送の黎明期で、そこにサッカーというキラーコンテンツがはまったわけだけど、今はちょうどインターネットのブロードバンドでスマホを使って見るという時代になって、各社が定額制コンテンツを求めていて、プロスポーツというのはすごく主要コンテンツなんですよね。もちろん、ゴルフもそのうちの一つであることは間違いないので、いま大型契約を持ちかければ5年で500億円とか普通に出すと思いますよ。

【川淵】Jリーグのできる1年前(1992年)にプレミアリーグに勉強しに行ったとき、ボビー・チャールトン(注:伝説的サッカー選手で当時はマンチェスター・ユナイテッドの役員)に聞いたら、BスカイB(Sky Sportsの運営会社)とプレミアリーグは年間150億円で5年間の契約を結んだっていうんですよ。今では、(放映権料は)その10倍以上になっていると思うけどね。

それまでプレミアリーグの生中継っていうのは週に1試合くらいで、それ以外はみんなダイジェストでやっていたの。テレビで生中継をするとお客さんが減るっていう前提なんだよ。当時のオールド・トラッフォード(マンチェスター・ユナイテッドの本拠地)は、立ち見席を減らして椅子席にして3万5000人くらい収容できたんだけど、それが2万人くらいの動員に落ちちゃう可能性はあるけど、150億円には代えられないからっていって認めたんだよ。

そうしたら全く逆だった。蓋を開けてみたら、その後観客動員がどんどん増えていったんだ。それからスタジアムを2回増築して、今や7万5000人でしょ。日本のゴルフも、思い切ってスカイツリーから飛び降りる覚悟でやらないといけないですよ(笑)

【堀江】そう。実はテレビ放映を生でやると、観客動員は増えるんですよね。何かあるんですよ。

【川淵】僕も理由は分からないけど、世界の事例を見ているとそうだね。

(続く=次回は26日配信の予定です)

(取材構成/編集部・今岡涼太)