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マル秘ネタ満載!?ナイキ トークイベント

2013/02/20 15:00
~ナイキゴルフ×GDO スタイルゴルファープロジェクト~

ナイキゴルフ ロック石井×プロゴルファー タケ小山、トークイベント レポート
~ナイキゴルフ×GDO スタイルゴルファープロジェクト~

2013年2月16日、東京ビッグサイトのゴルフフェアの会場で、ナイキゴルフのボール開発担当のロック石井氏と、ゴルフコメンテーターとして活躍するタケ小山氏のトークセッションが行われた。普段から仲の良いお二人だけに、マル秘な話が続出する内容に・・・。トークの全貌はイベント参加者の特典ということで、今回は公開できる部分を抜粋してお届けする。

■ プロフィール

ナイキゴルフ ボール開発担当ディレクター
ロック石井
本名・石井秀幸。1964年生まれのエンジニア。国立長岡技術科学大学大学院を卒業後、1989年に国内の大手ゴルフメーカーに入社。同社でボール開発を担当し、2002年からナイキゴルフへ。現在はオレゴン州ポートランドに在住し、同社のボール開発の総責任者を務める。タイガー・ウッズが信頼を寄せる数少ない日本人でもある。

プロゴルファー タケ小山
本名・小山武明。1964年生まれのプロゴルファー。中央大学を卒業後に米国フロリダ州のゴルフコース所属プロとして渡米し、ミニツアーなどで通算37勝を挙げる。2001年からはCSゴルフ番組で解説を担当。2008年に帰国後、早稲田大学大学院でスポーツマネジメントを学ぶ。現在はコメンテーターやラジオDJとして活躍中。

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その1:ボール開発の経緯、『20XI』が生まれるまで

ナイキゴルフ ボール開発担当ディレクター ロック石井氏

タケ:オレらは、実は幼なじみなんだよね。なにを隠そう、小学校から同級生。

ロック:まさか同じゴルフ業界で働くことになるとは、思ってもみなかったよね。1992年にアメリカで小山に久しぶりに会ったときには、本当に驚いたんだよ。学生時代に英語の成績が悪かった小山が、流ちょうに英語を喋ってたから(笑)

タケ:学生時代、オレの英語の成績は褒められたもんじゃなかったよね。パー5でいうとイーグルって感じ?(笑)

ロック:そんな小山を見て自分も一念奮起して、本場のアメリカでボールを開発したいって思ったんだ。帰国してから、すぐに会社に異動願いを出したもんね。

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タケ:あの時は、まだナイキではなく、国内の他社メーカーの一員としてボールを開発していたんだよね。ナイキに転職したのは2002年?

ロック:そう。それまでは、ニック・プライスニック・ファルドなど、トッププロの意見を聞きながら他社でボール開発をしていました。ただ意見を聞くだけでなく、プロの打音、打ったあとのプロの顔の表情まで細かく観察してメモしていましたね。たしかにナイキに入社したのは2002年だけど、いろんな事情があって、タイガー・ウッズと出会ったのは実はもっと前で、彼がナイキと契約した1996年なんですよ。でも、彼がナイキのボールを試合で使うまでには長い時間が掛かりました。2000年5月のドイツバンクの試合からでしたね。

タケ:いろんな事情というのは、皆さんに推測してもらいましょうね(笑)。じゃ、現代のボールに話に戻しましょう。昨年、ナイキは『20XI』というレジンをコアに使った画期的なボールを作ったよね。あれはどういう発想で作ったの?

ロック:ゴルフの長い歴史のなかで、ボールは使われる素材によって性能が大きく進化してきました。近年はソリッドボールが全盛ですが、正直に言ってここ10年間ぐらいは、開発においては重箱の隅を突くような感じだったんです。4ピースの『ナイキ ONE』というボールを作り出したときには高評価を得たんですが、もっとスゴイものを作ってやろうと。そこで考え抜いて行き着いたのが、レジンという新素材をコアに使う発想でした。あと、皆さんに知っておいてほしいのは、ナイキのボールは他社が作ったものにスタンプを押しただけだと思っている人がいますが、そんなことはないですからね(笑)。ナイキ本社にはボール開発センターがあって、ちゃんと独自でボールを開発しています。

タケ:レジンをボールのコアに使うことによって、どんなメリットがあるのか、簡単に皆さんにも教えてもらえるかな?

ロック:レジンというのは樹脂系の素材なんですが、レジン自体はこれまでにもナイキのボールの中間層には使われていた素材です。これをコアに使うことによって、製造の工程が格段に少なくなり、ボールの品質を高めることができます。ゴルフボールにはルールで規制があって、初速、飛距離、重さ、大きさ、均一性が決められていますが、レジンはとても反発力が高く、コアに使うとルールに抵触するほど飛びすぎるので、中間層にはあえてゴムを入れて飛ばないようにしているぐらいです。2代目となった最新の『20XI』は、初代モデルよりも打音が低くなり、よりフィーリングが良くなっています。皆さん、ぜひ試してみてください。

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その2:ロック石井が見た!トップアスリートの道具選び

プロゴルファー タケ小山氏。現在はコメンテーターやラジオDJとして活躍中

タケ:ここにいる皆さんは、ナイキ契約のプロゴルファーの話をもっと聞きたいと思うんだよね。タイガー・ウッズのボール選びって、どんな感じなの?

ロック:タイガーは、クラブ選びもボール選びも、とても慎重派なんです。新しいものはテストして、テストして、テストして、いったん元に戻って、またテストを繰り返すという感じ。彼は、高いドローから低いフェードまで、弾道のイメージを9つのマスに分けて球を自在に打ち分けます。その感性に見合ったボールを求めるので、とても慎重になるんですね。彼は現在『ナイキONEツアー D』という少し飛ぶタイプのボールを使っています。理由は、やはり飛距離に対するこだわりがあるからです。でも、ショートアプローチでのスピン性能は、スピンに特化したタイプのボールと比較すると劣ってしまいます。彼も、ツアーでそこに苦労しているようですが・・・。開発者としては、常に飛距離とスピンの両方の性能を満たすボールを作り出したいと思っています。

タケ:今年からナイキの契約になったロリー・マキロイについても話を聞きたいよねぇ。タイガーと共演したCMも面白いよね。ところで、タイガーとマキロイは仲良くやってるの?

ロック:二人の仲は、とてもいいですよ。ロリーは、タイガーを常にルックアップ(尊敬)しているし、タイガーもそういった若手の選手には優しく接しますからね。ロリーは、本当に素直でピュアなナイスガイなんです。いつもまっすぐな目で見られるので、たまにドキっとしちゃうぐらい(笑)。タイガーの場合は、本当に目が鋭くて、出会った頃はあまり話せませんでしたよ。

タケ:そうだよね。タイガーって、そんなオーラを持ってる。マキロイは、イングリッシュパブで会ったらすぐに仲良くなれそうなんだけど(笑)。クラブやボールに対しては、マキロイはどんなタイプ?

ロック:彼は、道具に対して積極的なタイプですね。新しいものを貪欲に取り入れようとするし、僕に対しても「ロック、今のボールの飛び方はどう思う?」って僕に聞いてきます。デビッド・デュバルやカイル・スタンレーも意見を求めてくるタイプのゴルファーですね。

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タケ:ニック・ワトニーも今年からナイキ契約になったよね。オレは、彼はPGAツアーでベストスインガーだと思っているんだよ。

ロック:ニックは、メジャーにいちばん近い選手かも知れません。ナイキの道具で活躍してくれることを僕も期待しています!

タケ:今後、ナイキはどんなボールを開発しようとしているの? 最後にボールの将来の展望も聞かせてよ。

ロック:ゴルフクラブはロフトが調整できるようになったり、たくさんの種類のシャフトが作り出されたり、個人に合わせていろんなタイプを選択できるようになりましたよね。僕は、ボールでもそれをやりたいんですよ。何かを組み合わせて、電子レンジに入れたら自分用のボールができあがるとか。いや、これはマジメな話なんです。

タケ:電子レンジはずいぶん先の話だろうけど、せめてボールの色ぐらいは自由に選びたいよね。昔、ナイキは黒いボールも作っていたし。

ロック:黒いボールを作った時は、プロも試合で使ってくれたのでかなり話題になりました。カラフルなボールについては、今はノーコメントですね(笑)

タケ:ふーん・・・、これは何かありそうだな(笑)。ロックさん、これからも期待していますよー。皆がビックリするような面白いものを作り続けてくださいね!

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2010年からスタートしているGDOが主催する「スタイルゴルファープロジェクト」。自分のスタイルでゴルフを楽しんでいるゴルファーを応援していく企画だが、今回はナイキゴルフとコラボしてゴルフギア好きなゴルファーが喜ぶトークショーを提案した。今後も様々な角度から、ひと味違う企画を提案していくので、お見逃しなく。