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ボール業界に革命!コア素材を変えた「ナイキ 20XI」

2011/11/07 20:30
ついに日本でお披露目となった「ナイキ 20XIボール」。深堀プロと原口プロがデモンストレーションを行った

11月7日、千葉県の麻倉ゴルフ倶楽部にて、ナイキゴルフが革新的なコアを搭載した「20XIボール」(トゥウェンティ・エックスアイ)を発表した。北米では2011年4月29日に発売されているのだが、日本で大々的に公開されたのはこれが初めてで、2012年2月11日より販売される。

海外の同社契約プロは、シーズンの途中にもかかわらず、多くの選手が20XIボールに切り替えており、世界のツアーで4勝を挙げるなど、ボール性能の高さを実証している。

■「材料を変えることで革命が起こる」ボール開発担当のロック石井氏が語る

コアの進化によりボール性能は劇的に語るというボール開発担当のロック石井氏

「ここ十数年、ラバーのコアが主流の中、新素材の高反発樹脂「RZN(レジン)」を採用したきっかけは、ゴルフボールの歴史にあった」と語るロック石井氏。コアの材料を変えることで飛躍的にボール性能が上がってきたことに気づいたのだ。

ちなみにボールの歴史を紐解いてみると、木製ボール→牛皮にガチョウの羽を詰めたフェザリーボール→天然ゴムでできたガッタ・パーチャボール→ゴムのコアに糸ゴムを巻きつけたハスケルボール、という具合に進化している。

20XIボールは2種類。飛距離重視の「X」とスピン性能重視の「S」

新素材「レジン」を使用することにより、高反発かつ軽量化されたコアは4つの利点がある。
1.高反発コアにより、さらに速くなったボール初速。
2.コアの比重を軽くすることで慣性モーメントがアップ。直進性が高くなった。
3.スピンフローの実現。ドライバーではスピンが少なく、クラブの番手が下がるにつれてスピン量が増加することに成功。
4.製造過程が短縮されたため、量産してもボールの個体差バラツキが減少し、安定した性能を供給できる。

北米と日本で発売の時期が遅れたのは、コアの素材を変えたことで、今までの生産工程がガラリと変わってしまったことにある。このため、カバーの耐久性と生産体制が確立できず、大量のボールを市場に送り込めない事態だったが、この数ヶ月でその問題をクリア。今回自信を持って日本の市場に送り込むことができると同社は語る。

■「初速が上がり、曲がり幅が少ない」深堀・原口プロのデモンストレーション

深掘プロが新ボールの試打をアイアンで実施。ドライバーではスピン量が少なく、ショートアイアンになればなるほど、スピン量が増えることを実証してくれた

同社契約プロの深堀圭一郎原口鉄也が、前作と新作とで、コンピュータ計測によるデモンストレーションを行った。弾道計測の結果、深堀プロは0.8m/s、原口プロは1.3m/sの初速がアップした。(※理論値では、初速が1m/s上がると5ヤード延びると言われている)そのほかの感想では「多少のミスヒットでボールを曲げてしまうことがあっても、曲がり幅が少ない、特に落ち際で耐えてくれるので、狭いコースでも迷わずドライバーを使うことができた」や、「ボールが軟らかく、フェースに乗っかっている時間が長いため、コントロール性がいい」といった方向性の良さも高く評価している。

深掘プロが前作のボールと比較してドライバーでの試打計測を行った。今回の結果では、前作に比べると初速が0.8m/sアップ。スピン量が200rpmほど少なくなっている

いくらプロであっても毎回パーフェクトに打つのは難しく、少しのミスで測定値が変わってしまうため、どのメーカーもこういったデモンストレーションは普通やりたがらない。だが、ナイキは敢えて挑戦し、大勢の記者の前で“ぶっつけ本番”のテストを敢行するのだから、このボールに対する思い入れと自信は相当なものだ。(麻倉ゴルフ倶楽部/宮田卓磨)