石川遼、義援金「2億円」の効果
スポーツ3紙(スポーツニッポン、日刊スポーツ、サンケイスポーツ)は本日の1面で、石川遼が今季獲得賞金の全額を義援金として被災地へ寄贈すると報じた。石川は現在、来週開幕のマスターズに備えて渡米中(ジョージア州)だが、現地で報道陣に語ったもの。一部の電子版は昨日、このニュースを報じているが、スポーツ紙が1面に取り上げたことで、支援活動では存在感の薄かった男子プロゴルフが久々に脚光を浴びた。
石川はプロデビュー以来、3年連続で1億円を突破しており、昨季は1億5146万円。義援金に振り向ける賞金は4月7日開幕のマスターズから積み立てられる。また、国内ツアーで奪取したバーディ1個(イーグル含む)につき10万円を義援金とすることも明らかにしている。昨季のバーディ数は350。2010年度の実績をもとにすれば、約1億9000万円という支援額になる。各紙とも「2億円を目指す」との石川のコメントを掲載。プロスポーツ界ではイチローの1億円を筆頭に、松坂大輔が100万ドル、松井秀喜とダルビッシュがそれぞれ5000万円を寄付している。
石川の義援金についてサンケイスポーツは、「税金は持ち出し」との解説記事を加えている。『実は、ツアーの獲得賞金は、実際に受け取るときは税金分を差し引かれている。仮に額面で総額1億円としても、数千万円は手取額が目減りする。しかし石川は、その分も自己負担で補充する』(同紙)――。地震発生後、多くの企業・団体、著名人から義援金が寄贈されたが、石川はグッズ販売の収益金を振り向けると発表、ネット上で賛否両論が渦巻いた。そのような批難の声を、「プロスポーツ界最高額」で黙らせたことにもなる。
チャリティーレッスンなどで活発な支援活動を行う女子プロゴルファーに比べ、男子の影は薄かった。地震直後に谷口徹と近藤共弘(各300万円)、キム・キョンテ(1000万円)が義援金の寄贈を決め、ジャンボ尾崎らが街頭募金活動を行ったが、大半の男子プロはサイト上に「募金箱」を設置するにとどまっている。
プロゴルファーの役割を「ゴルフ産業」の視点に限定すれば、ゴルフのイメージアップとプレー人口拡大への寄与に集約される。巷間、ゴルフ自粛ムードが蔓延しているが、プロゴルファーはそれを払拭する責務も担っており、その面でも「遼くん効果」への期待は大きい。今季男子ツアーを通じて、バーディ奪取のたびに義援金となれば、被災地への関心を風化させないことにもつながる。