PGAツアー初観戦から8年 小平智の課題と仲間
◇米国男子◇ジェネシスオープン 事前情報(12日)◇リビエラCC(カリフォルニア州)◇7322yd(パー71)
「小平さん、74(.71)%もあるの? すげーな…マジで」。PGAツアーの会場に配置された電光掲示板には、試合中の成績だけでなく、各選手のプロフィールや、各スタッツのランキング上位者が紹介されることがある。練習中、松山英樹はフェアウェイキープ率部門で全体5位にいた小平智のスタッツを見て感嘆した。
2週前までは、小平の同部門でのランキングはなんと2位だった。1Wショットの正確性は日本でプレーしていた時と同様、一番の武器と言っていい。その反面、平均飛距離では180位(283.3yd)、パーオン率は158位(68.06%)、ストローク・ゲインド・パッティングは186位(-0.583)など他部門では下位に沈む。「フェアウェイをちゃんとキープして、セカンドをグリーンに乗せて、“無理のないパー”を重ねていれば、そのうちチャンスが来るという形にしたい」という理想とするゴルフをなかなか展開できていない。
その理由を本人は「やっぱりアイアン。(セカンド以降の距離が)長くなってしまうので、なかなかグリーンに乗らない。日本とはそこが違いすぎる」と解釈する。「日本は420ydくらいのパー4が普通だとしたら、こっちは480ydくらいになる。簡単にパーを獲れない。こっちでは気を抜いたらすぐにボギーになる」。年明けからスイングには好感触を持つ一方で、1月末にアイアンのロフト角を1度立てる調整を施すなど、日々対応に追われている。
「初めて回るコースが多くて、経験もコースに対する自信もない」。今大会のリビエラCCも今週に入って初めてプレーした。「見ているのとやるのとでは全然違う。(ロケーションの)錯覚もある。いろいろな傾斜があるので気をつけないといけない。グリーンも小さいので“点”で狙わないといけない」。また手を焼きそうだ。
けれど、そう思うからこそ、周囲の何気ない声も大きなサポートに感じられる。開幕3日前の11日(月)には松山とイン9ホールを回った。名物ホールの10番は「左側に置いておけば(2打目で)グリーンを長く使えますよ」と教えてもらった。12日(火)はアウトコースでケビン・ナに同伴し「こっちには外さない方がいい」、「ピンはココに切られる」、「このグリーンはどっちからでも寄る」と逐一アドバイスをもらえた。
フェデックスカップランキングで現在150位と低迷しても、「どこに行っても学ぶことばかりですごく充実している」という。実はプロ転向後直後の2011年、小平は自主トレ期間中に同大会を訪れ、初めてPGAツアーを生観戦した。「全然違う…と思った。だから、自分がここに出ているのが不思議というか、うれしいというか」と、今になって感慨深いところもある。「挑戦する気持ちで、アマチュアからプロになった時みたいにできて新鮮です」。8年経ってたどり着いた試合に臨む気持ちは、あの頃とそう変わらない。(カリフォルニア州パシフィックパリセーズ/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw