世界トップ3に入った松山英樹 ランク1位への道のりは
松山英樹が5月15日付の世界ランキングで4位から自己最高の3位に浮上した。前週の「ザ・プレーヤーズ選手権」は22位。僅差に迫っていた前週の世界3位ジェイソン・デイ(オーストラリア)と入れ替わり、これまでの日本勢最高位を更新した。
トップ3入りを果たして次に注目されるのは、松山が世界1位に立つのはいつか? という点。今後の動向を見守るには、まず、世界ランキングのシステムを確認する必要がある。
世界ランキングは、選手個々の直近2年間(最大52試合まで)の戦績で算出される指標だ。選手は主要ツアーの各大会で、順位に応じた世界ランキングポイントを獲得。2年間の合計ポイントを出場試合数で割った「平均ポイント」でランキングを決める。直近の活躍を順位に反映させるため、獲得ポイントは直近2年52試合以内でも、過去にさかのぼるにつれ漸減で計算される。
それぞれの大会で付与されるポイントは、試合の“格”と出場選手層によって大小がある。優勝者に付与されるポイントは、4大メジャーの100ptを筆頭に、世界選手権(WGC)は70pt前後、米ツアーの通常のスポンサー大会は60から30pt前後、日本ツアーは30から16pt前後。“第5のメジャー”と位置付けされる「ザ・プレーヤーズ選手権」を制したキム・シウー(韓国)は80ptを獲得した。
松山の世界3位浮上は小数点以下の細かい話になる。「ザ・プレーヤーズ選手権」の22位タイ(8人)で4.24ptを得た松山は、2年間(直近52試合)の合計ポイントを400.37pt(※以下、公式ページで表示されているpt)に積み上げ、出場試合数52で割った平均ポイントは7.6993ptとなった。前週3位だったデイは同大会で60位タイ(5人)となり1.2ptの上乗せでトータル304.23pt。出場試合数は40(2年間で実際に出場したのは38試合だが、39以下の場合は40とされる)で、平均7.6057ptとなり松山にトップ3の座を譲った。
松山は世界2位のロリー・マキロイ(北アイルランド)にも平均0.803pt差まで迫ったが、マキロイから7位のヘンリック・ステンソン(スウェーデン)までは1.3082pt差と拮抗している。今週は松山が「AT&Tバイロン・ネルソン」に出場せずオフに充てる一方、4位のデイ、5位セルヒオ・ガルシア(スペイン)、6位ジョーダン・スピースが出場。彼らの成績次第で、松山が再び4位以下に後退する可能性もある。
肝心なのは、世界ランク1位に君臨するダスティン・ジョンソンとの差だ。ジョンソンは2017年に入って、出場9試合で3勝(うち2試合がWGC)、トップ10に7回と圧倒的な戦績を残している。世界ランキングの平均ポイントは13.3213pt(出場46試合)で、松山とは5.622pt差。合計ポイントも612.78ptは、松山とは実に200pt以上の開きがある。
仮に米ツアーのシーズンが終了する9月をめどに、松山が世界1位に上り詰めるためには、ジョンソンをはじめとした他選手の出場試合や減算ポイントを加味しても、まずはこの200ptの差をどう埋めるかがカギになりそうだ。
松山は昨年10月の「日本オープン」から国内外の大会を通じ、5試合で優勝4回、2位1回と圧倒的な成績を残して一年を締めくくったことは、いまだ記憶に新しい。そのわずか5試合で得た合計ポイントは、201ptだった。
6月15日開幕の「全米オープン」をはじめ、夏場の大会は高額ポイントが付与されるメジャーやビッグトーナメントが連なる。再び破竹の勢いを見せれば、いよいよ頂上が近づいてくるポジションにいる。(編集部/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw