平塚と池田がバツグンの相性で世界を舞台に戦う
「勇太はオレのこと、すごい好きなんよ」と、平塚がうれしそうに顔をクシャっとして笑う。中国のハイナン島にあるミッションヒルズリゾートで開催されている「オメガミッションヒルズワールドカップゴルフ」は世界28カ国の代表が2人1組で戦うため、ペアリングの信頼関係が最も重要なことは言うまでもない。この2人を見ていると、表現の方法こそ異なるが、多くの共通点があることでお互いに深く理解しあえていることがわかる。
一見、人を寄せつけない雰囲気をかもし出している2人だが、常に周囲への細かい気配りを忘れず、思いやりをもって行動していることに驚かされる。大会前日に行われたプロアマ大会でも、「スイングの悪いところをこのラウンド中に治してあげたい」とアマチュアに懸命にレッスンする池田、あえてスイングのアドバイスはしないが、やさしい励ましや応援を欠かさない平塚の姿が微笑ましく映った。
「哲兄(てつにい)、哲兄」と平塚を慕う池田は、世界中のツアーで活躍するスケールの大きいプレーに憧れ、そして尊敬している。「スケジュールさえ合えば、来年はアジアンツアーなどの試合にも積極的にチャレンジしたい」と、先輩に続くべく、意欲をみせている。
その平塚が、大会前に「ごめん」は絶対に言わないと約束をしたという。その理由は「ベストを尽くしてプレーをしているのだし、謝ったら攻められなくなるから」だそうだ。常に周囲には笑いが絶えず、冗談ばかり言っている平塚だが、勝つことへの執念はすさまじいものがある。40歳だから40試合出場する、と年の初めに宣言し、世界中のツアーを転戦した2011年。日本を離れた経験がある人ならわかると思うが、世界へ一歩でると、そこは孤独で、紛れもない実力の社会。
日本を離れれば、今までの自分の経歴を知る人も少ないし、お膳立てしてくれる人もいない。「とにかくなめられたくない」という思いで必死に戦い、安定した成績を収めてきた。勝つことが唯一、自分の存在価値を認めさせる方法だと、身にしみて経験している平塚と、その愛すべき後輩である池田とのチームワークは抜群だ。大会2日目を終えてチームジャパンは首位と5打差の10位タイ。残り2日間、2人のプレーがさらに噛み合えば逆転優勝も夢ではない。(中国海南島/向井康子)