小平智は日米で滞在先を悩む 試合減によるツアー再開後の議題とは
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、試合数が削られたPGAツアーを主戦場にする小平智が迷える心境を吐露した。滞在中の米国は13日に国家非常事態が宣言され、騒動にまつわる事態がいよいよ深刻化。先行きの見えない状況下で、中断中の居場所の選択も悩ましい。
初日を終えていた「ザ・プレーヤーズ選手権」を含む5試合の中止、「マスターズ」の延期が決まった前週、小平は拠点のフロリダの自宅で残念なニュースを知った。「出ることが決まっていたドミニカの試合(コーラルズプンタカナリゾートクラブ選手権)の中止が最初に決まって、『ええ??』となった数時間後に、さらに試合がなくなると聞いて…。『マジかよ』と思って、『どうする、どうする?』という感じになりました」。中止になったのは4月初旬「バレロテキサスオープン」まで4試合。小平はそのうち3大会に出場を予定していた。
現段階でのツアー再開は早くて4月16日(木)からの「RBCヘリテージ」。2年前に初優勝を飾った大会だ。「今のところはホッとしていますけど…」。目下の心配はどこで復帰戦を待つかということ。とどまるべきか、帰国すべきか。アップルをはじめ大手メーカーの店舗は続々と国内外で営業をストップさせている。刻一刻と変化する環境、飛び交うニュースに「日本より状況が悪くなってきたような気もする」と戸惑いを隠せない。
体は「絶好調です」というのが幸いだ。「オフなのか、なんなのかよく分からない。厳しいですけど、いつ始まってもいいように出来る限りの準備はしないといけない」と気持ちに緩みはなさそう。日本にいる美保夫人と相談を続けながら、調整場所を探る。
年間レースであるフェデックスカップポイントランキングで、小平は現在210位と低迷し、シード確保へ巻き返しを期すだけに試合数減は何より痛い。その一方で、こちらも再開が不透明な母国のツアーにも目を向けた。「日本でもとくにQTや下部ツアーから上がってきた選手にとっては、試合に出るチャンスが減ってしまうのは厳しい」
ゴルフをしたくてウズウズしているのはどのプロも同じ。再開後はトップクラスのシード選手たちが、例年はエントリーしなかった試合に参戦することも大いに考えられる。限りあるフィールドの外に追いやられるのは当然、出場資格の優先順位が低いプレーヤーたちだ。
多くの選手の出場機会が減れば、それだけツアーの新陳代謝も鈍くなりかねない。また、年間のスケジュールには国内外のビッグトーナメントへの“予選”として行われる大会もあり、仕組みが揺らいでしまうこと、大会によっては出場資格の見直しが求められることもありそう。男女を問わず、シーズン中のリランキング(獲得賞金額に応じた出場優先順の入れ替え)時期を再考する必要性もあるかもしれない。事態が収束しても、残りのシーズンに向け議論されるべき問題はありそうだ。(編集部・桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw