多彩なショットとは 星野陸也が突き詰める道
◇米国男子◇ソニーオープン in ハワイ 最終日(12日)◇ワイアラエCC(ハワイ州)◇7044yd(パー70)
星野陸也は多彩な球筋を操るのが好きだ。絶え間なく吹き荒れる強風との戦いにもなった今大会の予選ラウンドは、低く抑えたボールを活用。同組の米国選手から「いい球を打つな」と褒められたことをうれしそうに話していた。それでも、大会を45位で終えると「もっとたくさん経験して、いろんなショットを打てないと難しい」。真意を聞いた。
「戻すのが大変なんです」と解説する。より打ち込んでいく意識の低弾道ショットを多用していると、どうしてもそのイメージが体に残る。フォローの風を感じて高い球を打とうとしても、低い球を打っていたときの“名残”で打ち込む動作が加わり、アイアンショットが想定以上に飛んでしまうことがあった。
ドローヒッターでありながら苦もなくフェードを打つが、その点も課題を口にする。「自分の中で、フェードの次のドローって難しいんです。プッシュする気しかしない。たとえば、タイガー(ウッズ)はすごいじゃないですか。(右も左も)どっちのピンも狙っていける。フェードの後にドローを打とうとしたら、自分なら安全にいこうとなるんですけど、タイガーはピンを狙っていける」。勝負どころで自在に切り替えてこその多彩な球筋だと強調した。
3日目には2010年の全米オープン覇者、グレーム・マクドウェル(北アイルランド)と同組でプレーした。「そのあたりがうまいんです。低すぎず、風に強い、いい球とか。シンプルに、簡単に、打ち分ける。自分も低い球を打つときとか、スイングをあまりいじらないでボールの位置を左サイドにして打つとか、極力簡単なことしかしていないつもりでしたけど、もっとシンプルに低い球を打てないかな」。持ち味だと思っていた部分に成長の余地があった。
「頭、使いますよね」とつぶやき、早口で続けた。「クラブは14本もあるんですから。ヘッドやシャフト、グリップによっても変わってくる。クラブのことを考えなきゃいけない。スイングのことを考えなきゃいけない。打つボール(球筋)のことを考えなきゃいけない。今週の風みたいに、自然の状況に対応することも考えなきゃいけない」。それだけ聞けば、大変な競技だ。「突き詰めるために、やることがたくさんある。それが楽しいんですよ」。憧れの米ツアーで思いを再確認し、少年のように笑っていた。(ハワイ州ホノルル/亀山泰宏)
■ 亀山泰宏(かめやまやすひろ) プロフィール
1987年、静岡県生まれ。スポーツ新聞社を経て2019年にGDO入社。高校時代にチームが甲子園に出場したときはメンバー外で記録員。当時、相手投手の攻略法を選手に授けたという身に覚えのないエピソードで取材を受け、記事になったことがある。