2019年 ISPS HANDA オーストラリア女子

高校2年生・和久井麻由を驚かせた“元世界1位”のアドバイス

2019/02/14 20:00
収穫は単にスコアだけではない

◇米国女子◇ISPSハンダ オーストラリア女子オープン 初日(14日)◇ザ・グランジGC (オーストラリア)◇6648yd(パー72)

開幕前日の午後、人影も少なくなったパッティンググリーンで、アマチュアの和久井麻由(代々木高2年)の元に、2011年から13年まで109週連続で世界ランク1位に君臨したツェン・ヤニ(台湾)が歩み寄った。

直前までバンカー練習をしていた2人だが、バンカーショットに苦労している和久井を見かねて、ツェンはこの見ず知らずのアマチュアに、いくつかのポイントを教えに来たのだ。「こんなヘボのアマチュアに…」と和久井は恐縮した。「すごく親切だし、優しいなって思いました」。この好意のアドバイスをしっかりと胸に刻んだ。

ツェンが置かれた状況は一変している。かつては無敵を誇ったが、昨季の賞金ランキングはデビュー以来最低となる135位。直近6シーズンは未勝利で、ここ3シーズンはトップ10入りすらできていない。それでも、はにかんだような笑顔と親切心は昔から変わっていない。和久井に言葉をかけながらも、「混乱させたくないのだけど」と何回も気づかったり…。

ここ数年、試合では苦しんでいるツェンだが…

大会初日、和久井はバーディを奪えずに3オーバー96位。それでも、「教わったことをやったら、バンカーはほとんどパーセーブできました」と目を輝かせた。2番ではグリーン奥のベアグランドから約40ydをユーティリティで転がし、1mに寄せてパーを拾った。「ずっと練習していたプレーだから、うれしかったです。上達したなって」と、笑顔で振り返ったプレーも少なくない。

世界の舞台に挑戦する、高校2年生のワクワク感が伝わってくる。「小さなミスでスコアを落として悔しかったけど、きょう一日良い経験ができました。あすは巻き返したいし、楽しみです」と、希望に胸が膨れている。「きょう一緒に回った選手も『17歳なのにすごいね!』とか、いっぱい話をしてくれてうれしかったです」。この空気感こそ、米女子ツアーの魅力のひとつだ。(オーストラリア・グランジ/今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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