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2015年 全英リコー女子オープン
期間:07/30〜08/02 場所:ターンベリー(スコットランド)

成田美寿々 リンクスでよみがえる下積み時代の記憶

「あの時はもっとうまく対応できていた気がするんですけどねえ」――。初日の穏やかな空から一転、スコットランドの海岸線沿い、ターンベリーはようやく本来の姿を見せた。強風が吹き荒れた「全英リコー女子オープン」2日目。3アンダーの14位から出た成田美寿々は「75」とスコアを落としたが、通算イーブンパーの15位で踏ん張り、首位とは7打差で決勝ラウンドに進出した。

やすやすとトラブルを回避して完走できるほど、全英は甘くない。2つスコアを伸ばして迎えた後半12番、成田の左足上がりのフェアウェイからの第2打は、大きく右へ飛び出した。

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「低い球を打とうとしてボールを右足寄りにした。右に置くと左にフェースを“巻き過ぎる”悪い癖がある。それを意識しすぎて、開いてスライス回転がかかってしまった」。時間をかけて捜索して発見したボールは、深いラフの中。アンプレヤブルを宣告し、結局5オン2パットのトリプルボギー。さらに13番もダブルボギーとした。

それでも「“トリ”を引きずったわけではない」と、15番(パー3)でバーディを取り返し上位をキープ。前日、第1打が300yd近く飛んだ17番(パー5)は、この日は逆の向かい風が強く吹き「ドライバーで200ydくらいしか飛ばなかった。こうも変わっちゃうかなあ」と言いながら、表情は充実感でいっぱい。「トリ、ダボと来て、難しすぎてもう逆に面白くて。こんなに頭を使わせてくれるところはない。もちろん悔しいけれど、まだまだうまくなれる要素はたくさんある」と、ここで戦える喜びをかみしめた。

「あした、あさって、もっと吹いてほしいくらい。頑張って風と友達になります」。そう話す成田の頭に浮かんだのは、まだ日の目を見ない、下積みの頃の記憶だった。「これくらいの風は、毎日あったんです」

いまや国内ツアーを引っ張るトップ選手となったが、ジュニア時代はナショナルチームが遠い存在だった。“雑草魂”でのし上がってきたのはファンの多くが知るところ。五輪出場の目標を公言するのも、日の丸に縁がなかったことへのコンプレックスも大きい。

ツアーへの出場権がまだなかった2011年末から翌年の春先まで、台湾で予選を含め5試合以上プレーした。「いろんな意味で、すごかった…」。プロが集まっても、ショットガンスタート(全選手が各ホールに散らばり、同時刻にティオフする方式。試合時間を短縮できる利点がある)を強いられるトーナメントもあった。「あなたは13番から出てください、って。コンペみたいでしたね…」

その台湾の地で味わったのが、日本では経験できなかった猛烈な風。「海沿いではなかったけれど、ここみたいに(発電用の)風車がたくさんあった」。2012年10月「富士通レディース」で初優勝を飾る、数カ月ほど前のことだった。

決勝ラウンド進出を決め「とりあえず4日間できる喜びはある」と、一安心した成田。ただ「去年は風が吹かなかったのに、自滅して予選落ちした。まだ、そのリベンジができたとは言えない。なんとかアンダーパーにしたい」と週末を見据える。強敵はもちろん上空を吹き荒れる重たい風だ。「もう少しうまく対応していたなあと…あの時の風は」。エリート街道を歩んでは見えなかった景色。英国リンクスには、それがあった。(スコットランド・ターンベリー/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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