クリスティ・カー、自己変革への挑戦
07年の全米女子オープンを制したクリスティ・カーが、昔は今より相当ふくよかだったのはゴルフ界では良く知られた話だ。アマチュア時代に数々のタイトルを獲得したが、97年のプロ転向後はなかなか勝ち星に恵まれなかったカーは、99年に一念発起。栄養士とフィットネスコーチを雇い、それまで84kgあった体重を一気に56kgにまで落した。
その結果、それまで悩まされていた背筋痛は影を潜め、スイングも改善されて飛距離が伸び、さらには眼鏡をやめて髪型を変えてイメージも一新。02年にツアー初優勝を果たすと、その後は03年をのぞいて、毎年一勝以上を挙げている。
強風の吹き荒れた「クラフトナビスコ選手権」の2日目、「68」を叩き出して首位と1打差の3位に浮上したカーは、記者会見でどのようにこの風に対処したのか聞かれると、「挑戦して生き残るだけ。ゴルフスイングもパッティングも関係ない。例えば8番パー3、私はピンの30ヤード左を狙わなければならなかったけど、風が良いところに運んでくれた」と、なんとも悟りきったようなコメントを残している。
実際、自己啓発の達人でもあるカーは、昨年から精神面の強化に取り組んでいるという。「私は、自分がメンタル強化の必要があると公言することを躊躇しない。だって、どれだけ多くのプロやアマが、その問題を抱えていると思う?彼らは才能があるのに、それを発揮できていない。私は才能を持っている。私がメンタル面を自分の才能と同じくらい強化出来たら、良いことになると思うわ」。
仏教徒のメンタルトレーナーについているというカーは、「とても平和で落ち着いたやり方」で、それを行っているという。「まずは自分の感覚を意識すること。感情のコントロールの仕方と、頭で考えるのではなく体から最高のものを引き出すこと。なぜなら、頭で考えすぎると、体と心が同期しないので、ショットを自由に操れない」とカーは言う。
徹底した自己管理で、自分を変えていこうとするカー。まさにプロフェッショナルな挑戦だ。(編集部:今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka