エビアンマスターズの魔力
最終日最終組の最終ホール、申智愛の沈めたバーディパットがウィニングパットとなり、今年の「エビアンマスターズ」は閉幕した。最終組がホールアウトする前、通算13アンダーで先にアレクシス・トンプソンとチェ・ナヨンがホールアウトし、同じく13アンダーでモーガン・プレッセルと申がやってくる。エビアンマスターズGCは、観ているものに最高の筋書きを用意してくれていた。
直後に行われた表彰式には、サッカー・元フランス代表のジネディーヌ・ジダンが駆けつけ、空からは韓国国旗をなびかせたパラシュートが降りてくる。会場は音楽とピンク色のエビアンカラーのフラッグで満たされ、明るい空の下で華やかな笑顔が弾ける。大勢のギャラリーを遠巻きにして、僕もなかなかその場を離れることが出来なかった。
今大会の賞金総額は3,250,000ドル(約2億9千万円)で、優勝した申智愛には487,500ドル(約4,380万円)が贈られる。その額も凄いが、大会の選手や関係者に対するホスピタリティもまた格別だ。我々メディアには送迎車が用意され、エビアンだけではなく隣町のホテルまでも、どんなに仕事が遅くなっても送り届けてくれる。会場入りに際しては、1時間以上掛かるジュネーブ空港への送迎も完備されているのだ。
大会期間中、フランス人記者はしきりに“メジャー大会”という言葉を使っていた。この試合は第5のメジャー大会と言えるのか?全米女子オープンが開催されたオークモントと比べて、このコースはどうなのか?
そんな事を気にする必要はないだろう。美しいコース、おいしい食事、最高のホスピタリティ。参加した誰もが、また来たいと思える大会であることは間違いない。ほとんど英語の通じないフランス人に囲まれていても、その想いは強く心の中に残った。(編集部:今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka