宮里藍、爆発的スコアの秘密とは?
最終18番でチップインバーディを決めた宮里藍。「プレーオフの準備が出来たね」と笑うミックの言葉に従うように、ホールアウトした宮里はそのまま18番裏にある練習グリーンへと向かった。
2010年の米国女子ツアー開幕戦「ホンダPTT LPGAタイランド」。練習グリーン脇の大型ビジョンでは、2組後のスーザン・ペターソンのプレーを映し出していたが、宮里はちらりとも見ようとしない。力むでも、浮かれるでも、ドキドキするでもなく、ただ淡々と目の前のボールを転がし続けた。
米ツアーに来た当初、宮里は体格に勝る外国選手の飛距離や迫力に気圧される部分があったという。「日本で見たことのないスコアがポンポンでるし、みんな飛ぶし、私はバーディチャンスを作っていけるホールが少ないなと思っていました」。必然的に、メジャーなどの厳しいセッティングの中、必死にパープレイで耐えていく、という試合展開が当時の宮里には合っていた。
しかし、宮里はそんな苦手意識も克服していく。いかに自分にブレーキを掛けないか。心の声を聞きながら、“細かい作業”を丹念に続けていった。「爆発しそうでしないことが、去年もあった。その細かい部分をキャディと話して、自分のフィーリングをトラスト(信頼)して、クラブ選択をやってみたら凄い良かったです」。今週は、4日間で21アンダーを叩き出した。
たまたま、メディアセンターで隣に座ったのが、スーザンの故郷・ノルウェーからの新聞記者。つい、「I’m sorry.」と言ってしまったが、彼は「スーザンは、自分は良いプレーが出来たし、藍が9アンダーを出したら仕方がない。おめでとうと言っていたよ」と教えてくれた。遠くバンクーバーでノルウェーは5個の金メダルを取っているそうだが、日本にとって最初の金メダルを、ここ灼熱のタイであげたい気がした。(編集部:今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka