チーム・アジアorチーム・コリア?
たまたまランチで同じテーブルに座った、地元・シンガポールの若い記者と挨拶がてら簡単な話をした。「ここは暑いね。日本は今、雪が降っているところもあるよ」。彼は笑いながらこう答えた。「シンガポールには天気が2つしかない。晴れか、雨か」。
レクサスカップの取材の為シンガポールを訪れてまだ2日目だが、まさにその言葉通りと実感する。気温は常に30度前後で、朝晴れていたと思っても、急に雨が降り出し、しばらく降ると何も無かったかのようにやんで再び太陽が顔を出す。それゆえ、外は常に高温多湿。それに反して、室内は空調が効きすぎる位効いている。
その例にもれず、ガンガンに空調の効いたインタビュールームで、それぞれのチームの会見後にキャプテン同士が残って明日のフォアサムの組み合わせを決めた。全6組を決めるのだが、方法はコイントスによって先攻と後攻を決め、先攻のチームが先に2人のペアを発表し、後攻がそれを受けて対戦相手を指名する。2組目以降は前回と逆の順番でこれを繰り返す。
最初のコイントスに臨むのは、昨年の勝利チームのキャプテン、アニカ・ソレンスタム。「head」と予想したアニカだったが、結果は裏側。指名順の選択権を得たグレース朴がアニカに先攻を譲り、ドローが始まった……。そのドローも終盤に差し掛かった5組目、先にアニカが「私と、カリン」と言ったのを受けて、グレースが初めて韓国人以外の選手を指名した。
チーム・アジアとしてみれば、最強の相手と思われるアニカペアに、未知の力を感じさせる横峯ペアをぶつけるのは理解できる。負けて当たり前&勝てば儲けもの。しかし、我々日本人にしてみれば、願ったりのペアリングとなった。その結果、チーム・アジアの最終組には、C.クーンとJ.ロサレスが入った。最初の9人までが韓国人で、後にそれ以外の3人が続く組み合わせだ。
この日の夕方、大会スポンサーがメディア向けのディナー会を設けてくれた。その会場に向かう道すがらを台湾メディアの記者と歩いた。「日本からは1人の選手。台湾からも1人の選手。一緒ですね」と話しかけると、彼は答えた。「その通り。だから、我々はロサレスをフォローする必要があるね」。韓国人以外の3人のプレーヤーの中の1人のロサレス。だが、フィリピンからのメディアは見当たらない。「確かにその通りだな」。チーム・ノットコリアで連帯感を得たその瞬間。ロサレルに対する妙な責任感を感じながら、我々はディナー会場へ歩を進めた。(編集部:今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka