“直ドラ”だけじゃない 渋野日向子の1Wショットの安定ぶりがすさまじい
◇米国女子◇ロッテ選手権 3日目(15日)◇ホアカレイCC (ハワイ州)◇6603yd(パー72)
青い空に描かれた放物線が最高到達点に届くかという時、さっと身をかがめてティペグを拾う。その光景だけで、ボールがおおよそフェアウェイで弾むことを渋野日向子のファンは知っている。強風を浴びても、ハワイで放つ1Wショットは抜群の安定感。3日目までのフェアウェイキープ率は83.33%(35/42)を誇る。
初日にトライした“直ドラ”は2日目以降、1ラウンドで2回ずつ披露した。3日目は出だし1番と後半11番(いずれもパー5)のフェアウェイから。11番はバーディにつながり、「日に日に直ドラの精度が良くなっていると思うので、あしたも使えたら」と、すっかり自分の武器にした手応えがある。
直ドラは物珍しいため注目を集めるが、やはりそれ以前のティショットでの1Wの“振りっぷり”が頼もしい。
◆ターゲットの幅はわずか15yd
前半5番は左に池が広がるパー5。右サイドには242yd先にバンカーがあり、キャリーで257ydを出さなければ越えず、フェアウェイが狭く見える。3日目、同組の2人はいずれもフェアウェイウッドでバンカー手前に刻む選択。渋野は(おそらく)迷わずに1Wを握った。バンカー越えは同じようにできないが、そのバンカーの左、池までわずか15yd幅に狭まるフェアウェイへ打ち抜いていった。ボールが着弾しようかという時には弾道から目を切り、ティペグを拾って。
多くの選手を悩ませる風は、渋野にとって今週は好都合だという。「これだけ風が吹くことで、スイングにフォーカスできる」。強弱が移り気な風に、球を好き勝手に持っていかれるのは仕方がない。自分がやれるのはスイングすることだけ。
スタート前の練習場では普段通り、時折スマホで動画を撮影してスイングチェックをする。「(今週は)いつもよりもトップを丁寧に上げている感じですけど、たぶん皆さんには分からないです(笑)。私、トップから切り返しが早いので。まずはトップまで(を丁寧に)。とりあえず、そっからは何とかなる」。単独首位のキム・ヒョージュ(韓国)を3打差から追う最終日は同じ最終組でティオフ。自信を持って1Wを振り抜く。(ハワイ州エワビーチ/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw