2011年 日本シニアオープンゴルフ選手権競技

完全優勝の室田「どうしても勝ちたかった」

2011/10/30 20:16
ショットの不調に苦しみながらも、“欲しかった1勝”を手にした室田淳

広島県で開催された「日本シニアオープンゴルフ選手権競技」の最終日、室田が4日間首位を守りきる完全優勝で日本タイトルを手にした。

最終ホール、外したらプレーオフというボギーパットを沈めると、長きに渡るプレッシャーから解き放たれた瞬間、室田は天を仰いだ。晴れやかな表情で取材陣の前に現れると、開口一番「嬉しいは嬉しいけど複雑ですね。でもホッとしました」と安堵の表情。複雑だという理由は、自ら「すごいゴルフの内容だった」と評するほど、ショットに苦しみながら戦い抜いた4日間だったからだ。

普段は優勝争いをしていても「そんなに意識することはない」と話す室田だが、今大会だけは違っていた。「どうしても勝ちたい気持ちがそうさせているのか、意識しないようにしていても、自然と体が固くなっていましたね」とプレーを振り返る。優勝の二文字が見えてくると、戦うのは相手ではなく自身の心と言われる所以。「昨晩からそのプレッシャーで、枕元にクラブを置いて寝ました」と冗談交じりに話すほど、その緊張感は並々ならぬものだった。

シニアツアー参戦以来、同大会では過去6戦に出場し2位が4回と惜敗を喫し、幾度と唇を噛んできた。安定した強さを見せつけながらも、未勝利という悔しさがその思いを爆発させた。室田にとっての日本タイトルは「自分の中でそう意識しているものでもないんだけど…56歳にもなって、レギュラー(ツアー)でも頑張っているのに(日本タイトルが)あるのとないのじゃ違うしね」とその重みを口にする。

2日目を終えて青木功が「もう俺は(優勝争いから)いなくなるから、よかったな」とわざわざ室田のところに握手を求めにきたと言う。「凄い人だよね…そういうのがプレッシャーだよね(笑)」としみじみ。現在シニアツアーで活躍する“名だたる先輩方”は皆タイトルホルダー。室田自身もこのタイトルを得て、その1人に加わる日もそう遠くはないだろう。(広島県東広島市/糸井順子)

■ 糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール

某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。

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