「昔よりゴルフが好き」 藍世代・藤田さいきのモチベーション
◇国内女子メジャー◇日本女子プロ選手権大会コニカミノルタ杯 初日(7日)◇安比高原GC(岩手県)◇6,640yd(パー71)
日本の女子ゴルフ界を牽引してきた宮里藍が今季限りでの引退を表明し、次週開催の海外メジャー「エビアン選手権」(9月14日~/フランス・エビアンリゾートGC)を最後に現役から退く。ラストゲームへのカウントダウンが刻まれる一方で、伴侶を得た今も勝利を求め続け、国内ツアーでプレーを続ける同学年がいる。2010年大会の覇者で、今季は6年ぶりのタイトルを狙う藤田さいきだ。
宮里、横峯さくらと同じ1985年生まれの31歳。03年「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で当時18歳アマだった宮里が最年少(当時)で制し、同年にプロ転向。“藍ちゃん旋風”が吹き荒れてから2年後の05年に藤田はプロ入りした。「同級生だけど雲の上の存在。私がゴルフを始めた14歳ごろにはすでに大会にも出ていたし、その名は誰もが知るところだった」という。
引退を知ったときは驚いたというが、同年代では頭ひとつ飛び出る168cmの藤田にしてみれば、「小さい体でよくここまで頑張ってきたと思う。しかも過酷なアメリカで。ゴルファーでいる年数はわたしよりもずっと長いし、気苦労は計り知れない」と思いやった。
プロ転向翌年の06年から賞金シードを維持し続けている。優勝は11年の「富士通レディース」から遠ざかっているが、メジャー1勝を含むツアー通算5勝。今季はトップ10入り7回を数え、賞金ランキングは25位につける。パッティングに苦しんだ時期は何度も引退を考えたというが、「今やめたら絶対に後悔する」との周囲の声で踏ん張ることができたと振り返った。
宮里は絶頂期を自覚しながらメジャーに勝てない時期が続き、プレーへのモチベーションを失った。一方で、長くタイトルから見放されている藤田はどうだろう。「今は昔よりもゴルフが好きになっている。技術面、精神面でも成長を実感することで、いろんなことに挑戦できるようになったから」ということを、現在のモチベーションとしている。「だから、勝つことに執着しすぎなくなった。そう思うと余計に緊張しちゃうし、今は楽しんでプレーすることがいちばん」と話し、はつらつとした笑顔を向けた。
今週は初日を5バーディ、4ボギーの「70」として、首位と3打差の1アンダー暫定10位の好スタートを切った。「ラフに入ればボギー必至。耐えることは嫌いじゃない」。公式戦ならではのハードセッティングが、31歳の挑戦心をより掻き立てる。まだまだ、立ち止まってなんかいられない。(岩手県八幡平市/糸井順子)
■ 糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール
某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。