藤本麻子、自分にカツを入れ掴んだ初勝利
国内女子ツアー「伊藤園レディスゴルフトーナメント」は、最終日の序盤に横峯さくらが単独首位に踊り出て、各選手が追いすがるという展開になった。その横峯を終盤に捕らえたのが、同じ組でラウンドした藤本麻子だった。
大会2日目の9番でショットを開眼したという藤本は、その9番から最終18番までに7つのバーディを量産していた。そして最終日も10番でバーディを奪うと、12番、13番で連続バーディを奪い、16番、さらに17番と5つのバーディを積み重ねて10アンダーの横峯に追いついた。
「16番のバーディパットが決まったときに、まだ私にもチャンスがあると思いました」。最後まで諦めずにプレーを続けた藤本の追い上げは、結果的に最終18番の2打目を池に入れてしまった横峯から勝利の女神を引き寄せることになった。
藤本の諦めないゴルフを触発したのは、前半の6番だった。322ヤードと距離の短いパー4で、フェアウェイからの2打目をピンの左奥7mに乗せた藤本は、バーディパットを1mオーバーさせて返しも外しボギーにしてしまった。
「私、あのようなミスが多いんです。狙える距離でもないのに、その気になって狙っちゃって3パットですから。でも、今日はあの1ホールで吹っ切れたというか開き直ることが出来ました。ヨシって気合を入れたら7番のバーディに繋がりました」と、ターニングポイントを挙げる。
2009年にプロテストに合格した藤本は、その年のクオリファイで上位に入り、昨年初のシード権を獲得した。順風満帆に見えるプロ生活だが、ジュニア時代の成績を考えるといつ優勝してもおかしくない選手という見方をされ、自身の焦りを感じていた。「アマチュア時代は限られた試合数なので、その都度調整していけば大丈夫でした。でも、プロは毎週違う会場で移動もコースも知らないとついていけない」。ツアー参戦初年度は試合に出場することが精一杯だったと話す。
ところが、昨年フル参戦し、そのペースも身体にしみこませ「昨年はシード権獲得などの焦りもありましたが、大会に余裕を持って挑めています」という。今回のようにラウンド中の気分転換や、前日のように試合中にスイングを開眼するなど、日々進化を遂げる藤本が、この初優勝で勝ち方まで身につけたら、目標とするヤニ・ツェンや不動裕理のような偉大な選手に変貌するかもしれない。(千葉県長生郡/本橋英治)