ミヤギテレビ杯、最終組の三者三様
「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」の最終日最終組で回るのは、通算7アンダーの不動裕理と、通算6アンダーの大山志保、恒川智会(ちはる)の3選手。かつての賞金女王2人と、プロ7年目で初優勝を目指す28歳というペアリングだ。
皆さんにとって一番なじみの薄いであろう恒川は、ステップアップツアーでの優勝経験はあるもののレギュラーツアーでは昨年の「CAT Ladies」の6位タイが最上位。現在の賞金ランキングは74位ながら、「ここまで来たら優勝したい」とやる気満々だ。もちろん、“優勝”というのは誰にとっても欲しいものだが、名古屋出身の恒川にとっては、次週開催される「日本女子オープン」の出場権を手に入れるためには、“優勝”しか残されていないという理由もある。
「最終日最終組は絶対に緊張すると思うけど、もう長いことプロをやっているので、そろそろ花を咲かせても良い頃ではないのかな」と、妙に客観的なところも頼もしい。震災の被害を受けながらトーナメント開催までこぎつけた利府GCや、復興に向けて頑張る人々を見て、「すごく苦労していると思うけど、頑張れば私もこういう風になれるんだって思います」と、気持ちを重ねているところも興味深い。
一方の大山は、この日の最終18番でひやりとした。ティショットがやや右に出て、「絶対、池に入ったと思った」というが、辛うじてキャリーで越えると思わず手を叩いて喜んでいた。昨年から8キロ太り、体重の話をしていたという同組のフォン・シャンシャンに「太ったかいがあったね」と言われる始末・・・。それでも、今週月曜日に塩竃に行き、被災者とふれあったという大山は、「1打1打一生懸命プレーして、前を向いて進みたい」と、こちらも強い想いは同じだ。
そして、1打差で単独首位に立つ不動。「1打差なんてあっという間ですから、気にせず明日は1からやりたい」と謙虚さはいつも通りだが、会見で大山が「上には不動さんがいるので、200%くらいの力を出さないと上にいけない」と話していたことを伝え聞くと、「いえいえ」と照れながらもこう付け足した。「もうここから始まっているんですよ。それを信じちゃダメなんです(笑)」。さすがは、百戦錬磨の元賞金女王だ。(宮城県利府町/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka