ストップ・諸見里に有村智恵も
トーナメント会場内にある選手の順位を表示した速報ボードは、観戦に訪れたギャラリーにとってだけではなく、プレーをする選手達にとっても貴重な情報源の役割を果たしているが、今週の「ゴルフ5レディス」では、大型の速報板は14番グリーン以降、18番グリーンまで存在しなかった。ホール間の通路脇に小さなボードはあるものの、大勢のギャラリーに取り囲まれる最終組付近では、それを確認するのは容易ではない。
「途中、状況が分からなくて、18番グリーンに上がるまでは(トップと)同じスコアだと思っていた」というのは有村智恵。「パーでも大丈夫だなというのが、セカンドまであった」と振り返る。左ラフからのセカンドショットは、グリーン右サイドに切られたピンを狙わず、センターへ。「(グリーンに)上がってみたら1打差で、あんなパットを残してしまった」と、2段グリーンの上から10m近い下りのバーディパットを沈めるしか、追いつく可能性は残されていなかった。
6番から5連続バーディを奪うなど、この日7つのバーディを奪ってトップの諸見里しのぶを追い掛けたが、最後は3パットのボギーとしてしまう。悔しさと共に、健闘を称えるギャラリーの暖かい拍手が心に沁みて、グリーンサイドで涙がポロポロと溢れ出た。「自分は頑張ったよねって思いながら、つい…」と、有村。
「独走を許したらいけないって気持ちがあったし、賞金女王争いも独走を許したら国内女子ツアーが盛り上がらない。私たちみんなが頑張って良い成績を残して、終盤まで良い争いにしないといけない」と、責任感の強さが言葉に滲む。諸見里との差は約3000万円でランキングは4位。それでも、有村の本気さがこの日の涙で伝わってきた。(編集部:今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka