藤田幸希、ついに“スコア・イップス”を克服!
「今年のオフは初めて合宿をやりました。10日間の合宿で、クロスカントリー、スノーシュー、ランニング、浜辺ダッシュに筋トレ、そして打ち込み。自信がつくほどやったので、優勝争いくらいは、軽く出来るだろうと思っていました」。
そう振り返る藤田幸希だが、09年シーズンの蓋を開けてみると、その期待は大きく裏切られた。開幕戦は49位、その後も20位~30位に入るのがやっとという試合が続く。「体の(調子が悪いという)理由もないし、4月位から『あれっ?』って思うようになりました」。先週までの10試合で、最高位は12位タイ。予選落ちも経験したが、何より気になったのはスコアが出ないということだ。
その10試合でのベストスコアは「70」。過去3度の優勝経験を持つ藤田にとって、それはゴルフをやりだしてから初めてぶつかった壁だという。「調子は悪くないんだけど、スコアが出ない。父には“スコア・イップス”だと言われました」。この期間、藤田は精神的にも苦しんだ。「周りに当たるし、凄かったです。何度ホテルで号泣したか…」。試合を観戦に来た友達にも、表情の暗さを指摘される程だったという。
シーズン11試合目となる今大会、2日目に今季初めての60台となる「66」を出し、藤田の顔にようやく明るさが戻ってきた。「(不調の)原因は1ヶ月位前から分かっていたんです。アプローチもパターも、ショートしてオーバー出来ないんです。昨日、父と電話で話して、『1mショートするなら、3mオーバーしろ』って言われて。今日は突っ込んでいった結果です」。返しのパーパットも全部入ったと喜んだ。
かつて無いほどの準備を積んで開幕を迎えただけに、結果が出なかった時のショックが大きく、それが悪循環になったのだろう。それでも、「1回大きいのを出しちゃえば壁は乗り越えられると思っていて、早く乗り越えたかったし、乗り越えた感はある」という藤田。「良く耐えたと思います。お陰でタフになったかな」と、長いトンネルを抜け、まぶしそうな笑顔を見せた。