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「柏原さん、上にいるよ」イ・ボミ復活の予感は確かか

2019/10/30 08:30


◇国内女子◇NOBUTA GROUP マスターズGCレディース◇マスターズGC(兵庫)◇6510yd(パー72)

スコアボードが見える17番(パー3)ティ。杉の木の枝が邪魔をしたが、佐藤賢和キャディには、さっきまで首位で並んでいた柏原明日架の名前が、一番上にあることだけはわかっていた。1組前の柏原が、最高難度のこの17番でバーディを奪い、抜け出していた。

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「柏原さん、一打上にいるよ」

佐藤キャディは、イ・ボミ(韓国)に言った。

状況を知らなかったイ・ボミへの通達は賭けだった。プレッシャーに感じ、ショットが崩れるかもしれない。これまでもインパクトの瞬間に手元が緩んでしまうことがあった。ただ石川遼らトッププロと苦楽をともにしたキャディには経験に裏打ちされた自信があった。

「今のボミプロなら、絶対に大丈夫だと思ったんだよね。16番でも良いショットを打っていた。その週を通じて安定感があった。この勝負の場面、安全策をとってパーを狙ったら、絶対に後で本人が後悔することになると思ったんだ」

初めてコンビを組んだ今年8月「CAT Ladies」。率直に感じたとこう明かす。

「んー、確かに成績は落ちていたし、流れも悪かった。でも、やっぱり21勝する人なんだよね。うまいよ、本当にうまい。まっすぐしっかりパットを打てる選手って、正直多いわけじゃない。ただボミプロは悪いとは言いながらちゃんと打てる。ショットもそう。その試合でも3位だった。だから夏場の状態は、今年いつ勝っても不思議じゃないと思ったのが、本音だよね」

ピンは右手前、手には5I。地面がやわらかくキャリーで飛ばす必要があるため、イ・ボミは最終日にウェッジ1本と入れ替え、ほとんど使っていない5Iを、最大級にプレッシャーがかかる場面で振り抜いた。

2015、16年の賞金女王は成績が急激に落ちた理由をもう何度も探ってきた。ただ、そんな簡単に答えが出る世界ではない。ひとつ挙げるとすれば、2度目の賞金女王を獲得した翌年の17年は、例年より1カ月近く始動を遅らせたことくらいだ。その年はかろうじて夏場に1勝した。

「応援してくれる人がいるから、頑張れる。その人たちに、成績が下がっていても頑張る姿を見せるために、やっている」。よく使う言葉だった。過去の選手同様、頂点に立ったからこそ、自分のために、というモチベーションの維持は難しそうに見えた。

上向いた流れに乗ることは容易でも、一度下を向いた流れから脱却する難しさは、過去の先輩ゴルファーが示している。15年に男女通じて最高獲得賞金額を稼いだイ・ボミですら、だった。昨年は過去最低となる賞金ランキング83位で終えた。復活への望みを託したのが、渡邉吾児也(あるや)トレーナーだった。2季連続女王時代を支えた人だ。

今年の春先、昨季よりもしなやかなスイングでボールをとらえるイ・ボミをロープ外から見ながら、渡邉トレーナーが言った。

「当時、もうボミを頑張らせることは難しかった。だって、チームのみんなが、彼女がどれだけ頑張ってきたかを知っていたから。2年目の賞金女王を獲った時、もう無理はできないな、と思った」

真剣な眼差しを緩め、つぶやいた。

「少しは休みたくもなるよね。スーパースターって孤独なんだよね」

一度は解消したコンビの復活を望んだのは、イ・ボミの方だ。ただ、渡邉トレーナーは再契約を承諾するにあたって、ひとつだけ確認したという。

「もう一度、本気で頑張れそうか」

難題だと知ってはいたが、「自分をトレーナーとして成長させてくれたのも、ボミ」とオファーを受け入れた。そしてオフの合宿を経た春先数試合の状態を見て、わずかに希望が見えていた。

「6月のアース(モンダミンカップ/過去2勝)まで、待ってよ。理想も込めてだけど、そこまでにはなんとかもっていけたらと思っているから。そんなに思い通りにいくほど甘い世界ではないけどさ」。理想の時期よりは遅れたが、夏場以降にチームの思いが、形になり始めていた。7月から3戦連続トップ10、その後8月末に3位に入った。そして、昨年予選落ちに泣いた「マスターズGCレディース」で2年ぶりの優勝に最も近づいた。勝負を分けたのが、最終日の17番(パー3)だった。

白球が空を飛んだ。全盛期と同じような見事なまでのドローを描いた。ピンへ向かう打球を佐藤キャディは目で追い、想いを込めた。ピン下6m。柔らかいグリーン、ほとんど転がらなかった。ほんのわずかキャリーが足りなかった。数cm先へ飛んでいたら結果は違ったかもしれない。6mを外した。2年ぶりの最終日最終組で回り、1打差2位で終えた。

それでもイ・ボミは「17番は、すごくチャンスにつけられた。上りのライン、ショットはものすごく良かった。パットはもう少し直さないといけないけど」と清々しかった。自ら佐藤キャディの名前を切り出し、「今週はキャディさんにたくさん助けられた。良い言葉をかけてくれて、自信をもって、打てたんです」と感謝した。

最終日の朝、コンビ4戦目の佐藤キャディはイ・ボミが最も信頼するマネージャーから緊張を和ませるように頼まれたという。

「和ましてって言われても、難しいよ(笑)でも、普通に話してたよ。ボミプロとは、何の話をするかなー。あんまり雑談みたいにならないかもね。だってプロは、ゴルフが大好きなんだよ。婚約者(イワンさん)の話とかはしたよ。でもさ、すぐにゴルフの話に戻るんだよね。ずーっと、ゴルフの話しているんだよ」

酸いも甘いも知る31歳。今も大好きなゴルフで支えてくれる人たちと、確実に同じ目標に進んでいる。

きっとゴールは、もうすぐだ。(編集部・林洋平)

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林洋平(はやしようへい) プロフィール

1991年、横浜市生まれ、A型。大学卒業後の2015年にGDO入社。チーム内では最年少。トーナメント取材に行くが、自身のプレーは勉強中。当面の目標はドライバーをスライスさせないこと。大のビール党で、出張先の名物で晩酌するのが、ささやかな楽しみ。

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