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女子プロテストの狭き門 3部ツアーの必要性は?

畑岡奈紗が今季メジャー1勝目を挙げた9月の「日本女子プロゴルフ選手権」で、同学年の杉原彩花はロープ外から畑岡のプレーを見つめていた。「なにが違うのかなと思って…」。杉原は昨年、このチェリーヒルズGCで行われたプロテストファイナルで26位。合格には2打届かなかった。

日本女子プロゴルフ協会の規定変更により、今年のプロテストはさらに厳しい戦いとなっている。華やかなレギュラーツアーの舞台に立てる選手はひと握り。もしプロテストに合格できなければ、基本的に国内ツアー出場は不可能だ。そうなった選手たちは、いったいどうすればよいのだろうか?

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今年のプロテストは2 次予選から出場する杉原だが、8月末には韓国女子ツアー(KLPGA)のインターナショナルクオリファイングトーナメント(IQT)に参加してきたという。タイ・パタヤで開催されたIQTは4日間72ホールで、上位3人にKLPGAのファイナルQT出場権、上位30%(最少6人~最大20人)にセカンドQT出場権が与えられる。さらに、順位に応じて2部ドリームツアー、3部ジャンプツアーの出場権やQT出場権が付与される。杉原はこの大会で20位となり、同6位の立浦琴奈とともに、ひとまずはKLPGAのセカンドQT出場権という“保険”を得て帰国した。

海外ツアーの参戦経験豊富な中山三奈によると、他にアジア各国で行われているツアーには以下のような特徴があるという。

【中国ツアー】ツアーとしてしっかりしていて、コースコンディションもよく、セッティングも面白い。中国、タイ、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなどの選手が中心。賞金はステップアップツアーより少ない試合が多い。

【台湾ツアー】コースに練習場がなかったり、コンディションがあまり良くないコースが多い。プリファードライの追加ローカルルールが多く、グリーンスピードは8フィートほど。賞金総額は180万~1000万円。台湾やタイのうまい選手が出てきて、レベルは上がってきている。

【フィリピンツアー】賞金は少ないが、戦略性のあるコースが多く面白い。台湾ツアーとの共催も年に3、4試合。中国、台湾ツアーともに出場できない選手が出ていることが多い。

もし、国内プロテストに通らなければ、海外で戦うというのもひとつの選択肢となりそうだ。中国ツアーは年明け(今年実績)、台湾ツアーは11月に予選会が開催される。とはいえ、それには先立つお金も必要だ。杉原は「韓国ツアーはプレーフィーが高くて、キャディ込みで1ラウンド1.5万円くらいすると聞いた」とちょっぴり不安そうだった。

そこで、日本も3部ツアーを立ち上げるべきと主張するのは、プロとともに多くのジュニアゴルファーを指導するプロコーチの井上透氏だ。「海外転戦をするようなお金を持っている子はそう多くありません。このままだと、磨けば光る選手が研鑽の場のないまま競技人生を終えてしまいます。人気がある今だからこそ、3部ツアーは設立可能だと思います。国内ツアーの強化を考えれば、これが一番効果的だと思いますね」。底辺を広げれば、そのぶん頂上も高くなる。国内ツアーが盛り上がっているいまだからこそ、打てる手もあるのでは?という意見だ。

だが、日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長は、「いまは(2部の)ステップアップツアーを3日間にしたりして力を入れているので、3部ツアーを導入してもステップと差が付き過ぎる。いまのところ、(3部ツアー設立は)考えていないです」と消極的だ。

結局は、いまある選択肢の中から、それぞれが自分の道を見つけてはい上がっていくしかない。国内プロテストは実技免除だったものの、元世界ランク1位の宮里藍は米ツアーQT突破の経験をもとにこう助言する。

「誰もが必ず通る最初のステップ、一番重圧を感じるのがプロテスト。それは、あまりネガティブにとらえてほしくないというか、長い目で見て、人生における最初のチャレンジと前向きにとらえてほしい。1回目でうまくいかなかったとしても、結果、チャレンジすることは変わらない。トップアマでも、プロ資格を持っていないツアープロでも、みんなが平等に通る道だと考えると、それぞれが乗り越えなきゃいけないこと。本当にシンプルに頑張れっていう感じですね」

通っても、通らなくても、諦めなければ挑戦がそこで終わるわけではない。国内女子ツアーのプロテストはいま、第2次予選が進行中だ。(編集本部・今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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