2019年 ミズノオープン

ミズノ選手の強い味方 動く工房「ミズノワークショップカー」とは?

2019/05/31 15:20
移動するときは作業台が車体に収まる優れモノだ

◇国内男子◇~全英への道~ミズノオープン 2日目(31日)◇ザ・ロイヤル ゴルフクラブ(茨城県)◇8016yd(パー72)

今週開催の男子ツアー「ミズノオープン」の会場では、女子ツアーと男子ツアーで1台ずつ稼働する“動く工房”ともいえるバン、「ミズノワークショップカー」を見学することができる。

ミズノの用具を使う選手のクラブを調整するのがこの車の主な役割だ。男子ツアーの場合、試合週の火曜から木曜まで常駐し、「ひっかかる」「球が上がりにくい」といった選手の悩みに応える。クラブの組み立てから、修理、調整、シャフトやグリップ交換まで、会場に来ているシャフトメーカーやグリップメーカーと連携してすべての作業を行う。

ミズノのクラフトマン。女部田(おなぶた)真弘さん(左)と大宮全弘(おおみや・まさひろ)さん(右)

普段、男子ツアーについて回るクラフトマンは基本的には2人で行動しているという。女部田(おなぶた)真弘さん(53)はこの道36年。大宮全弘(おおみや・まさひろ)さん(47)はまもなく30年になる。沖縄以外のほとんどの試合をこのコンビで転戦する。

ロフト角やライ角の調整はすべてクラフトマンの手作業で行われる。「人によって力は違うので感覚で調整する」という熟練の技だ。ドライバーヘッドの中に入れる消音材は、現在は本来の役割ではなく重量調整で使うという。スイングバランスを図る測定器もある。「ヘッドが重く感じるか、軽く感じるか、選手によって好みがある」

ロフト、ライ角調整はすべてクラフトマンの手作業で行われる

バンへの来訪頻度は選手によってさまざま。3試合に一度、替える選手もいれば、手嶋多一のように気に入ったセッティングをほとんど変えない選手もいる。手嶋は「よかったら変えたくない」と、グリップが剥げても使っているという。

シーズンオフは「新しいものが出るとみんな打ちたがる」と忙しい。また、開幕前に選手が「完ぺきだ」と14本を決めても、いざシーズンが始まり、序盤の何試合かをこなすと問題点が出てくる。「精神状態が追い込まれたときにどういう球が出るか。試合で使ってみないとわからない」。そのたびに調整してシーズン中盤まではそれを繰り返す。選手のセッティングは終盤に差し掛かった秋口にようやく固まってくる。

ミズノワークショップカー

この日、一般客の見学のアテンドをしていたミズノ契約の久保宣子プロによると「クラブのせいにしすぎてもダメなんですけど、選手の不安を取り除いてくれる。ここに来ればなんでも直る。自信をつけてもらう場所」と2人のクラフトマンに絶対的な信頼を置く。選手の活躍の裏には名コンビとこの車の存在があった。(茨城県鉾田市/柴田雄平)

■ なおこの車は試合期間中、一般客も以下の日時で見学が可能

・6月1日(土) 9:00~11:00、12:00~15:00
・6月2日(日) 9:00~12:00

■ 柴田雄平(しばたゆうへい) プロフィール

身長188cmの猫好きおじさん。O型、おひつじ座。モデル、俳優から紆余曲折を経て、WEBディレクターとしてGDO入社。2017年10月にしれっと編集部へ。13年から続けるゴルフのベストスコアは「85」。

消音材でヘッドの重さを微調整する
ロフト、ライ角調整はすべてクラフトマンの手作業で行われる
シャフトメーカーやグリップメーカーと連携しているためストックは最小限

2019年 ミズノオープン