ビッグドライブをもう一度 チャン・キムが1年5カ月ぶり復帰
◇国内男子◇東建ホームメイトカップ 初日(18日)◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)◇7081yd(パー71)
2017年に3勝を挙げて賞金タイトルを争ったチャン・キム(米国)が、腰痛で途中棄権した同年12月「ゴルフ日本シリーズJTカップ」以来、約1年5カ月ぶりに日本でツアー復帰した。開幕前日の17日(水)は練習グリーンで最後の調整をこなし、「日本に戻って来られて良かった。ずっとこの日を待ち望んでいました」と雨に濡れた表情をやわらげた。
2017年は圧倒的なパワーを武器に11月までに3勝を重ね、宮里優作、池田勇太、小平智とし烈な賞金王争いを演じた。しかし、ランキングトップで迎えた同月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で流れは暗転する。2日目の起床時に腰に痛みを覚え、第2ラウンドスタート直前に途中棄権。「賞金王の可能性があったが、あのときにあきらめざるを得ないと決心した」と、この時すでに賞金タイトルへの意欲が失われたという。優勝で賞金王の可能性があった最終戦も、第2ラウンドスタート前に棄権を強いられた。
■ 腰痛に続き骨折も
それから、腰痛との長い戦いが始まった。早期回復を求めて、米国と韓国をまたいで多くの病院で診療を受けた。春先にはスイングできるまでに回復したが、さらなる災難がキムを襲う。復帰戦とするはずだった2018年3月の世界ゴルフ選手権「WGCメキシコ選手権」の練習ラウンド中、ボールと一緒に木の根を強打した衝撃で右手を骨折。全治5カ月と診断され、ツアー復帰はさらに遠のいた。
腰痛の回復を優先したこともあり、右手の故障以降、初めてクラブを握ったのは今年の1月上旬。その2週間後の日亜共催「SMBCシンガポールオープン」で待望のツアー復帰を果たし、「試合会場に足を運べたことが、何よりもうれしかった」と感慨深げに回顧した。予選落ちに終わったが、「36ホールを完走できたことで自信になった」と収穫は大きかった。
腰の状態は「だいぶ良くなったけど、ラウンド後に少し張りを感じる」と今も不安を残している。2017年当時よりもアドレス時の前傾を浅くし、体への負担を減らすスイングに移行中。スイングに大きな支障はないという。
■ ビッグドライブは取り戻せるか
平均300ydを超えるツアートップクラスの飛距離については「正直、それほど飛ばせるとは思っていない」とトーンは低めだ。「腰の問題というよりも、筋肉が多少なりとも弱くなっているから。飛ばすための筋肉を付け直して、また飛ばし屋だった自分の姿を皆さんに見せられればと思います」。完全復活を目指す29歳が、気持ちを新たに日本で再スタートを切る。(三重県桑名市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。