岩田寛 「覚えたて」のコースマネジメントで首位キープ
国内男子ツアー「~全英への道~ミズノオープン」の2日目。6アンダーから出た岩田寛が、スコアを3つ伸ばして通算9アンダーの首位タイをキープした。同大会は「全英オープン」(7月17日~、英国・ロイヤルリバプール)の出場資格獲得も兼ねた戦いとなるが、岩田は既にタイ・アマタスプリングCCで行われた予選会を突破して出場資格を持っており、ツアー初優勝のみが期待される戦いだ。
この日、10番から出た岩田は14番でボギーが先行し、この時点で首位の座を明け渡した。しかしその後に4つのバーディを積み重ね、終わってみれば首位タイに返り咲いた。
今季安定感のあるゴルフを展開する岩田は、これまで5試合中4試合でトップ10入りを果たしている。好調の要因を岩田は「マネジメントですかね。ショットやパットで手応えがあるって訳じゃないので」と話し始めた。「基本的にどんなコースでもティショットでフェアウェイキープを心がけて、ラフの場合はどこに外したら良いか、と考えています。グリーンの奥がどうなっているかをキャディに確認することはありますが、基本的に自分で考えます」。
アマチュアゴルファーの多くも、このような“基本的な”コースマネジメントをしながらラウンドする方が大半ではなかろうか。しかし、岩田がこのマネジメントを始めたのは、昨年末に米国PGAツアーの下部にあたる、ウェブドットコムツアーのクオリファイを受けた時だという。
では、2004年にプロ転向を果たして以来10年間、岩田はどのような考えかたでラウンドをしてきたのか。「とにかく攻めるだけでした。(ラフからでも)グリーンもピンが切ってある狭い方のスペースを狙って。それでボールを曲げて自分に怒っていました。でも、広い方を狙えば、ナイスショットでバーディチャンス。少しピン方向に曲がってもチャンス、逆サイドに曲がったらパー狙い。そういうのを覚えました」。
考えを改めた成果は着実に実を結んでいる。「(今年は)ボギーが減りましたね。たとえボギーでもパー逃しのボギー。今まではダボ覚悟がボギーで済んだらラッキーという内容でした」と苦笑い。実際、昨年のパーセーブ率は83.16%で34位だったが、今季は90.28%で2位タイと、その差は歴然だ。この日最初のバーディを奪った16番パー3も、グリーンセンターに1オン。いわゆる広いサイドを安全に攻めて7メートルのバーディパットを沈めたものだった。
ただ、マネジメントをしっかりと行って奪ったバーディには納得の様子だが、心配なのは長年染みついた攻めのゴルフが忘れられない自分もいること。「いままで一撃必殺しか考えてきませんでしたから、18ホール考えて回るのは疲れますね。ピンをデッドに狙ったほうが面白いですから」と、いたずら少年のようにニヤリと笑う。決勝の残り2ラウンドを「攻めるのか、寄せるのかという選択を自分の調子によって考えます」と戦略を立てる岩田。果たして、胸の奥底で眠る “勝負師魂”は残り36ホール黙っていられるだろうか。(岡山県笠岡市/本橋英治)