激闘を制した河野晃一郎「外国人には負けたくない」
降りしきる雨の中、6ホールに及ぶプレーオフを戦い、ツアー初勝利を掴んだ河野晃一郎は、どんな状況になろうと笑顔を絶やさなかった。
「長かったですよね、でも最後まで応援してくれたギャラリーの方々に、つまらない顔はお見せできない。せめて自分のトレードマークでもある笑顔で声援に応えたかった」。バーディパットを決めれば笑顔、ミスショットをしても笑顔、真剣モードで戦うベ・サンムン(韓国)とは対照的な表情を浮かべていた。
「あの子は昔から笑っていますよ。兄弟がいないので、友達をたくさん作りたいと自然と笑顔で人と接するようになったんじゃないですかね」と語る河野の父親も笑顔だった。
そんな河野がプレーオフを迎える際に思ったこと、それは外国人選手には負けたくないという思いだった。「今、韓国の選手たちが凄く強いですよね。彼らは凄くハングリーだし、練習も熱心。今、ベが賞金ランキングで首位を突っ走っていますが、彼に挑戦権があるのは(石川)遼くんだけだと思うんですよね。そしたら、なんとか日本人選手として少しでも後押しができればというか、ベの独走を止めたいと思って」と、日本人選手を代表して戦うつもりで挑んだ。
もちろん河野の立場は挑戦者だ。「ベの方が実力も上だし、飛距離も出るし、あの18番でやるのは絶対に不利ですよね。でも、僕は最終組でその流れで入れますけど、ベは時間が空いてしまったので、戦うモードになっていない分、少しチャンスはあるかなって思いました」と、心境を語る。
「6ホールは初めてですね」という河野だが、これまでプレーオフは5戦3勝。大学卒業後には4年間米国サンディエゴでホームステイをしてゴルフの練習に打ち込んできた。その際に米国のミニツアーを多い時には年間30こなしてきたが、プレーオフで3勝していた。「アメリカ人もハングリーで負けたくないという気持ちで戦っていました。あ、そういえば外国人にプレーオフで負けたことないや」と笑顔を見せる。
過去の2敗はいずれも国内での競技。「外国人選手と戦うのは相性が良いんですかね。でも、今回の優勝は本当に自信になると思います。あのベに勝ったんですから。自分ではまだ優勝は早いと思っていましたが、本当に嬉しいです。グリーン周りには仲間もいたのがわかったので『やったろう』という気持ちでした」。ラウンド中も笑顔を振りまく河野だが、優勝を決めた瞬間は仲間や応援してくれたファンに捧げる最高の笑顔だった。(兵庫県加東市/本橋英治)