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ツアーキャディのコロナ禍一年 優勝しても収入は「半減」

新型コロナウイルスの影響で国内でのレギュラーツアーは女子が14試合、男子はわずか5試合にとどまった。個人事業主として活動するプロキャディも選手同様に収入が限られ、優勝キャディからでさえ「去年の半分」との“声”が聞かれるコロナ禍の一年となった。

今年最終戦の12月「日本シリーズJTカップ」で優勝したチャン・キムのキャディを務めた出口(いでぐち)慎一郎氏は「とてつもない達成感で満たされた」と改めて感想を口にし、「運があった」としみじみと振り返る。

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それも当然だ。専属キャディ契約を結んだチャンは米国で開催となった10月「ZOZOチャンピオンシップ」を終えて来日し、入国後は2週間の隔離措置により成田空港近くのホテルで缶詰め。「(出場選手が限られる)JTに出場できるチャンスもない状態で、日本に来て試合勘もリセットされていた」

それでも、復帰した「三井住友VISA太平洋マスターズ」から2試合連続でトップ5入りして最終戦に出場。最終日は首位に並んでホールアウトし「プレーオフに残れるだけで幸せ」と2人で覚悟している中、後続がスコアを落として優勝が転がり込んだ。「あれは神がかり的だった」。出口氏にとってキャディとして初の日本タイトルとなった。

今年、出口氏が国内ツアーでバッグをかついだのは女子10試合、男子3試合。計13試合は昨年と比べて、3分の1だ。純粋なキャディ収入は、チャンの優勝賞金(2500万円)の10%など終盤の稼ぎで追い込みをかけ、「優勝してやっと去年の半分」という。キャディ界全体を見回し、「優勝していない人は3分の1、4分の1ぐらい(の収入)ではないか」。ゴルフ従事者支援に感謝を示しつつ、「キャディやトーナメントに関連した人の6割が苦しい一年だったと思う」とも。

例年に比べて最も違和感を覚えたのは、やはりギャラリーの不在だった。日本シリーズでは、名物18番のすり鉢状のグリーン周りに、いつもはいるはずの大勢の人がいない。「僕らが今まで見てきた当たり前の景色がない寂しさがあった」

感染予防対策で選手の関係者も入場が制限されたため、男子はセルフプレーだったり、女子はコーチがキャディとしてバッグを担いだりしていたという印象を抱くが、コーチがキャディを務めて優勝したのは「スタンレーレディス」の稲見萌寧ぐらい。

「どちらがいいというのはないが、ツアーキャディがいる選手が勝ち星を挙げているのは、僕らにとってはうれしい。スイングに口出しはしない。風を読んだり、距離を言ったりするだけでなく、選手の表情、心情をくみとって番手を選んだりするのがスキルのひとつ。気がつかないところで選手を誘導するのが仕事ですから」と存在意義を強調。メンタルトレーナーの資格を持つだけあって説得力がある。

オフは、そのメンタル面やマネジメントを中心としたジュニア向けのレッスンなどを行う予定という出口氏。2020年と21年が1つに統合されたシーズン再開後について「まずは日常に戻ってほしい」と願った。(編集部・清野邦彦)

清野邦彦(せいのくにひこ) プロフィール

1964年、山形生まれ。夕刊紙、スポーツ紙記者を経てGDO。80年代「おやじギャル」ブームをつくった女性漫画家を取材して初めてゴルフにかかわる。その場で買ったゴルフチームジャンパーがお宝。ドーハやカーヌスティで90年代のスポーツの「悲劇」に遭遇した。

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